教科書なのに無償化されないデジタル教科書

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文部科学省は4月22日、昨年5月に設置した有識者による『デジタル教科書の位置付けに関する検討会議』に『中間まとめ』の大枠を提示した。内容を一言でまとめると、『紙の教科書をデジタル化したものをデジタル教科書とするが、無償化は行わない』というものである。この基本方針に伴い、来年の通常国会に教科書を紙の本であることを前提としている学校教育法などの改正案を提出するとのこと。

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『1人1台のタブレット』で権限強化を狙う総務省

monbusyou

旧文部省の建物(現在は文化庁)

デジタル教科書を自己負担する理由は?

デジタル教科書が紙の教科書と同じだとすると、無償化しないのは大きな問題となる。義務教育である小中学校の教科書は、『義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律』で無償化が義務付けられているからだ。にもかかわらずデジタル教科書を無償化しないとなると、父兄に自己負担させてまでデジタル教科書を導入する意味が問われることになるだろう。『中間まとめ』はこれまでの討議の中で出てきた課題に対し、文科省の初等中等局教科書課が回答する形になっている。提起された22日の会合で討議されたとは思うが、最終的にどうなるのかが注目される。有識者の検討会は今年の末まで継続することが予定されており、そこで『最終まとめ』として提言が出てくることになるだろう。

デジタル教科書とビューアやハードは別

『中間まとめ』ではデジタル教科書にはビューアやハードは含まないとしており、それらの費用を誰が負担するのかには触れられていない。導入方法については『個人所有』と『学校備品』のどちらでも良いとしており、デジタル教科書の利用法と共に各地の教育委員会が決めることとしている。単純に見ると地方自治体に丸投げした形となっており、これでは国の政策として『2020年度に1人1台のタブレット』を標榜することとは矛盾する。地方自治体の財政事情は殆どが火の車であり、方針通りに導入できるところは限られている。事実、これまでに先行して導入した自治体は、目立ちたがり屋の首長の存在か財政事情が良いところに限られていた。

デジタル教科書で総務省の権限拡大!?

教育ICTへの取組みは、これまで文科省と共に総務省が主導していた。役割分担としては、文科省がソフト(デジタル教科書とソリューション)であり、総務省がインフラとハードであった。実際の導入に際し、これまでの役割分担もそのまま継続されるのだろう。つまり、タブレットの導入については総務省が責任を負っており、2020年度の実現を目指して地方交付税や補正予算を投入することで地方自治体をバックアップするのだろう。このところ総務省は携帯電話やテレビ局関連のニュースで取り上げられることが多いが、それらは全て2001年に総務省に統合された郵政省の管轄である。地方交付税は戦前の内務省や戦後の自治省の所管であり、総務省の中枢ともいえる領域である。そうか・・・・これまであまりにもばかげていると思って気にしていなかったが、『2020年度に1人1台のタブレット』は総務省の権限拡大の道具であったのか・・・これまで教育ICTと総務省の関係が見えなかったが、これで総務省が前のめりになっている理由が分かった。

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コメント

  1. 間澤 雅浩 より:

    紙でできた教科書の採択について、各教科書会社から教科書を採択する権限を持つであろう人々にしてはいけない行為が行われてきた。教科書の採択は、文科省の定める範囲内であれば教育委員会ごとに決定権があり、大きな権限の一極集中は行われてこなかった。
    しかし、すべての教科書を映像や動画を授業に不都合なく動くだけのタブレットとなると、それを決定できるだけの専門知識を持ち、それなりの権限を持つ人になってくるか、チームで決定すると思う。
    その際底に発生する費用が大きいため、公費で全額負担するという義務教育の根本を揺るがす行為に出ている。それだけ動くお金が大きく、利権が大きいことは明白だとおもう。
    教卓に児童全員がどんなページを開いているかが分かるようにしたり、一斉に同じ動画を見せるなどのメリットは多大にある。しかし、それを支える費用が国にも地方にもない。生活保護世帯は全員無償で支給され、生活保護世帯ギリギリの世帯には何万もするタブレットの費用が重くのしかかる。
    習字セットを兄弟で貸し借りしてきた家庭をいくつも見てきたが、今回の場合それはできない。一人に一つ必ず必要なのだ。
    無償でタブレットを支給するか、すべての学校に児童数無償で配布できる素地ができるまで、実践はは研究指定校だけにすべきだと思う。
    また、目や耳に重度の障害を持つ児童のことも考えても時期総称だと思う。
    憲法の
    第14条第1項 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的
    身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
    第26条第1項 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひ としく教育を受ける権利を有する。

    教育基本法の
    第3条 (教育の機会均等) すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
    2 国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。
    の精神を崩してしまいかねないと思います。