iPad Proは発売されないしiPad miniは生産継続

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この夏にもiPadのディスプレイを大型化したiPad Proの発売が噂されたが、またそれがぶり返されると共に今度はiPad miniが無くなるという話も出てきた。Macお宝鑑定団Blogは、MicrosoftのSurface Pro 3の対抗馬として12.2インチのディスプレイを搭載したiPadが発売されると書いている。また、台湾の経済日報が、「12インチのiPad Proを投入すると同時に7.9インチのiPad miniの生産を打ち切る模様」という記事を掲載したことが伝えられている。しかし、私はiPad Proが発売されることは無く、またiPad miniが無くなることはない・・・・・と考えている。

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iPadは「タブレット端末としても使えるPC」ではない

ipad-pro

iPad Pro⇒iPad mini⇒iPad Air

Windows 7ではiPadに対抗できず

私がiPadが大型のディスプレイを採用したiPad Proを出すことは無いと断言するのは、これまでiPad対抗として発売されたタブレット端末で10インチ以上のディスプレイを搭載した製品で成功したものは皆無であることが最大の理由である。

iPadの発売は2010年春だが、本格的なiPad対抗製品が登場したのは2011年になってからであった。その多くはOSにWindows 7を搭載しており、価格はほとんどが10万円以上であった。2011年春に発売されたiPad 2の価格は44,800円(16GB)~60,800円(64GB)であり、価格的には対抗できるものではなかった。また、Windows 7は一応マルチタッチ対応をうたっていたが(Windowsタッチと呼んでいた)、使い勝手はiPadに大きく劣るものでしかなかった。タッチ操作でiPadに対抗できるようになったのは、2012年秋のWindows 8のリリースまで待たなければならなかった。

本格的なiPad対抗Android端末はNexus 7とNexus 10

一方、同じ頃に発売されたAndroid端末だが、こちらは価格的はiPadの価格帯とダブルものとなっていた。また、全てがSDカードスロットを搭載していることから、大容量モデルについてはiPadよりかなり安くなる製品が揃っていた。しかし、当時のAndroidはスマートフォンのサイズに対応したマルチタッチであり、タブレットサイズではiPadとは比べ物にならないほどの操作性でしかなかった。従って、こちらの場合も本格的なiPad対抗製品の登場は、Googleブランドで投入したNexus 7とNexus 10の登場まで待たなければならなかった。Nexus 7は7インチのディスプレイを搭載し、製造は台湾のASUSが担当した。Nexus 10は10インチのディスプレイを搭載しており、製造は韓国のSamsungが担当した。

7インチは良く売れ、10インチはまったく売れなかった

Nexus 7は2012年7月に米国発売され、年内に10カ国以上で発売された。日本発売は9月25日。Nexus 10の発売は2012年11月だったが、日本のみ発売延期されて実際に発売されたのは翌年の2月であった。また、Nexus 7は2013年にも次世代機が発売されたが、Nexus 10の次世代機は発売されていない。つまり、7インチのタブレット端末はヒットしたのだが、10インチのタブレットはまったくと言ってよいほど売れなかったのである。Nexus 7の売れ行きをみたAppleは、2012年11月に初代のiPad miniを発売している。iPad miniは、Nexus 7より一回り大きい7.9インチのディスプレイを搭載している。Appleは翌2013年にはディスプレイをRetinaとし、今年はTouch IDを搭載した新製品を発売した。そして初代からの3世代のiPad miniの販売を継続させており、7.9インチサイズの品揃えを強化している。これはiPadの売れ筋が、現在は7.9インチのiPad miniにあることを示している。

ビジネス分野ではSurfaceだけで済むメリット?

iPadのディスプレイを12インチにしたiPad Proが発売されるという予測は、恐らくMicrosoftがSurface Proを発売していることから出てきたものと思われる。Microsoftは販売店にSurfaceシリーズの売上データを非公開とすることを求めており、POSデータを集計している調査会社からは情報が出てこない。7月22日に行われた4月-6月期決算報告の電話会議では、MicrosoftはSurface Proについて「まだ時期は早いが、売れ行きはこれまでのバージョンを上回っている」と述べたとされている。その発言の裏づけは得られないのだが、ビジネス領域ではかつて導入したiPadをSurface Proに切り替えたという話がチラホラ聞こえている。Surface Proは「タブレット端末としても使えるノートPC」であり、オフィスのノートPCを持ち出してメールや商談に使えるのはそれなりのメリットがあるだろう。

Surfaceはタブレット端末ではなくパソコン

しかし、AppleはMicrosoftと同じことを考えるだろうか。これは決して無い・・・・と断言できる。その最大の理由は、MacはWindows PCと異なって売上が落ちていないからである。Appleの7-9月期決算を見ると、Macの販売台数は過去最高となる552万台であり、前年同期比21%増となっている。一方、Windows PCの売上は縮小し続けており、その最大の原因はPCからタブレットへの乗り換えにあるとされている。それに危機感を持ったMicrosoftが採った方法が、「タブレット端末としても使えるノートPC(=Surface)」の発売であった。語弊を恐れずに言い切ると、Surfaceはタブレット端末ではなくパソコンなのである。パソコンとタブレットの2台持ちをしたくないユーザーを取り込むのが、Microsoftの狙いである。しかし、私の目にはMacユーザーは喜んでiPadとの2台持ちをしているように写っている。

タブレット端末とパソコンはまったく異なる製品カテゴリー

AppleがMicrosoftと同じことをする場合、その時はiPadでは無くてMacbook Airの新製品を出すことになるだろう。「タブレット端末としても使えるノートPC」として最も近い製品は、Appleの中ではiPadでは無くてMacbook Airである。Surfaceのようにキーボードを着脱式にすることが直ぐ頭に浮かぶが、Appleのことだからもっとユニークなアイデアを盛り込んでくるに違いない。それはさておき、2010年1月のイベントにおいて、Steve Jobs CEOはiPadを「スマートフォンとノートパソコンとの間を埋める第三のカテゴリーとなる製品」と紹介した。つまり、Appleは、タブレット端末とパソコンとはまったく違う製品カテゴリーと捕らえているのである。Wicrosoftは「タブレット端末としても使えるノートPC」を発売しなければならない事情があったが、Appleにはそうする事情ばかりかそういう思想もまったく無いことになる。

iPad miniの品揃えを強化したのが今回の目的?

AppleがiPad Proを出すはずが無いという理由を長々と述べてきたが、最後にiPad miniが無くならないという理由を書いておきたい。iPad miniが無くなるという理由として挙げられているのは、一つはiPad ProのようにiPadはディスプレイの大型化にシフトするという予測。もう一つは、小さいディスプレイサイズの領域はiPhone 6 Plusで埋められる、という予測に基づいているようだ。AppleがiPad miniの打ち切りを考えている一つの左証として、今回のiPad miniの新製品に革新的な手当てが何もされなかったことが挙げられている。しかし、いくら技術の発達が日進月歩だといえ、毎年革新的な手当てができるわけが無い。また、これから何年も売っていくという戦略があるはずであり、今回は大きな改善をしないことでコストを高めず、低価格帯の品揃えを強化したことがAppleの手当てだと私は判断した。つまり、今回のiPad miniのラインアップは、今後もiPad miniを継続して売るというAppleの意思を反映したものなのである。

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