低価格化してテコ入れしたAppleの2014年iPad

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iPadの前年割れが止まらない。Appleは10月16日に2014年7月-9月期の決算を発表したが、iPhoneが好調さを持続しているのに対し、iPadの不調が続いている。出荷台数は1,230万台とそれなりに大きな数字とはなっているのだが、前期比・前年比共に今年に入って100%割れが続いている。iPhoneの場合、前期比の100%割れは何度もあるが、前年比が100を切ったことは発売開始以来1度も無い。また、iPodの場合も発売した2001年から前年比は常に100%以上をキープし続け、100%を切りだしたのは発売8年後の2009年からであった。ちなみに2014年7月-9月期のiPodの出荷台数は264万台、前年比は76%であった。

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今回のiPadのラインナップは低価格化が真の狙い?

ipad-mini-3

iPad mini 3

9.7インチのiPad(16GB)の価格は発売以来499ドルを継続

Appleは、iPadの同容量製品の価格は旧製品を引き継ぐことを基本的な価格戦略としている。具体的にはどういうことかというと、9.7インチのiPadの場合、最低容量の16GBの製品は2010年の発売以来今回まで常に499ドルで販売されてきた。そしてその金額が基準となり、上位機種はその金額に100ドル刻みで加算される体系となっている。これは2012年から発売されているiPad miniにも引き継がれているが、iPad miniをRetinaディスプレイとした2013年は基準となる金額自体の値上げを行っている。iPad miniの基準となる金額は、当初の329ドルが現在は399ドルとなっている。ちなみにこの399ドルは、9.7インチのエントリーモデルの価格としてiPad miniと9.7インチiPadを繋げる価格ともなっている。iPad Air 2の価格を見ると、16GBの新製品は基準価格の499ドルであり、旧製品のiPad Airの16GBは399ドルで継続販売されている。

日本ではAppleの価格体系が見えない

米国の場合はわかり易いが、日本の場合はかなり複雑となる。iPadの日本での価格は、その時の円のレートで算出するのが原則となっている。円のレートは2010年まで超円高で推移してきたが、安倍政権に代わってからは円安が急激に進んでいる。Appleは2013年5月に円安に伴うiPadの価格改定を行っており、1ドル=100円のレートで価格を設定し直している。また、同年11月のiPadの新製品は1ドル=104円、今年の新製品は1ドル=108円換算で価格の設定を行った。更に今年の4月には消費税が5%から8%になっており、この時にも価格を改定している。また、iPadのWi-Fi+Cellulerモデルは3キャリアが別個に価格設定しており、更に複雑な価格体系となっている。前述の通り、AppleはiPadの価格体系を定額で組み立てているのだが、日本の価格体系からはそれが見えなくなっている。

大容量製品を中心に値下げとなった9.7インチiPad

ここではWi-Fi+Cellulerモデルは考慮せず、Wi-Fiモデルに絞って話を進めることにする。2013年のiPad発売時の価格と2014年の発売時価格を比較してみよう。9.7インチのiPadの場合、以下のようになる。真ん中にある「米国ドル」というのが米国での発売価格であり、この金額は2010年の初発以来変わっていない。左右にある「日本の価格」は、当時の円レートに応じて変化している。基本的には米国ドルに当時の円のレートを掛けたものとなっている。

9.7インチiPadの価格比較 
2013年

米国

ドル

2014年
日本の価格 9.7インチiPad 9.7インチiPad 日本の価格
81,800 iPad Air(128GB) 799
71,800 iPad Air(64GB) 699  iPad Air 2(128GB) 75,800
61,800  iPad Air(32GB) 599  iPad Air 2(64GB) 64,800
51,800 iPad Air(16GB) 499  iPad Air 2(16GB) 53,800
 - - × iPad Air(32GB) 47,800
41,900 - 399 iPad Air(16GB) 42,800
39,800  iPad 2(⇒iPad Retina) ×  - -

注: iPad 2は2014年3月にiPad Retina(iPad 4)に変更された

一見してわかるのは、全体的に値下げされていることである。iPad Air 2の128GBは従来の64GBの価格帯である699ドルに下がり、64GBは従来の32GBの価格に下がっている。それにより、iPad Air 2では32GBが無くなり、従来の4製品が3製品に減少した。また、iPad Airの16GB(上の表の緑枠)が100ドル下の価格帯に値下げされ、32GB(上の表の青枠)も100ドル以上値下げされている。尚、32GBの販売継続は10/16のイベントでは発表されておらず、もしかすると日本だけの対応かもしれない。いずれにせよ、大容量製品は1クラス下の価格帯にすることで価格を下げ、旧製品の価格を大幅に下げることでエントリーモデルとしている。但し、39,800円で売っていたiPad 2を無くしたことから、最低価格はiPad Air(16GB)の42,800円に上昇している。

iPad miniは値下げして低価格帯を拡充

iPad miniについても比較表を作成してみた。iPad miniも9.7インチのiPad同様、大容量製品の値下げ(表の黄色枠)と旧製品の値下げ(青枠と緑枠)が行われている。一つ違うのは、初代のiPad miniを残すことで更に低価格な価格帯を新設したことである。これまでは初代のiPad mini(16GB)の価格は31,800円(米国価格$299)だったが、それを5,000円値下げして26,800円(米国価格$249)の価格帯を新たに設けている。これまでは31,800円~71,800円であったiPad miniの価格帯は、26,800円~64,800円と上下とも5,000円のベースダウンとなった。

iPad miniの価格比較 
2013年

米国

ドル

2014年
日本の価格 iPad mini iPad mini 日本の価格
71,800 iPad mini Retina(128GB) 699 - -
61,800  iPad mini Retina(64GB) 599  iPad mini 3(128GB) 64,800
51,800 iPad mini Retina(32GB) 499  iPad mini 3(64GB) 53,800
41,900 iPad mini Retina(16GB) 399 iPad mini 3(16GB) 42,800
-  - ×  iPad mini Retina(32GB) 36,800
31,800 iPad mini(16GB) 299 iPad mini Retina(16GB) 31,800
- - 249 iPad mini(16GB) 26,800

更に注目されるのは、iPad miniの基準価格である$299の下は1クラスしかなかったが、今回からは3クラスに増えている点である。これは3万円前後で買える商品を増加させることで選択肢を増やしており、iPadが高いことから取り逃がしている客層を取り込むことが大きな狙いとなっている。

iPadの低価格化が今回のAppleの本当の狙い?

今回、iPad miniは9.7インチのiPadに比べると大きな進化は無かったが、それをしないことで低価格化を図ったものと思われる。つまり、今回のiPad発売のイベントの中でiPad miniについてはほとんど触れられなかったが、このiPad miniの低価格化がAppleのiPadへのテコ入れであったのではなかろうか。iPadの前年割れが続く中でiPhoneの好調さが続いているということは、iPhoneだけで良しとするユーザーが多いということを意味している。それらのユーザーがiPhoneとiPadの2台持ちに向かわない最大の理由は・・・・・iPadの価格の高さにあると思われる。Appleは今回のiPadの実質的な値下げを行うことで、かつてのiPadの勢いを再度取り戻すことを期待しているようである。

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