iPad miniの発売は昨年の11月、それから1年間のiPad miniの販売台数予測を行った。これまでAppleの四半期ごとの決算の発表のタイミングで予測を行ってきたが、計算ミスがあったので再度挑戦してみた。その結果、Appleは2013年9月までの約1年間で、iPad miniを4,160万台販売した。その数字は、iPad全体の7,100万台の59%を占めている。
予測の前提条件の精度を上げて再予測
推定方法はこれまでと同じ
今までに行ってきたiPad miniの販売台数予測の記事は以下の通り。
最初の記事⇒iPad miniの販売台数を推定する
2回目の記事⇒2013年1-3月にiPad miniは1,240万台
3回目の記事⇒iPad miniはiPadの73%を占める1,068万台
最新記事⇒この1年の売れ筋はiPad miniとiPad 2
しかし、最初の記事を除いて、単純なミスを犯してしまった。それについては前提条件次第で数字は大きく変わることから、記事そのものは修正していない。この記事で前提となる条件を最新の情報を加えて再検討している。私の推定方法は、Appleの決算数字をiPadとiPad miniの平均単価で分解、夫夫の販売台数を予測しようというものである。
製品別の販売明細は発表しないApple
この予測方法は簡単な一次方程式を解く方法となる。iPadとiPad miniの平均単価が分かれば直ぐに計算できるのだが、その数字はAppleは発表していない。と言うより、Appleは以前から製品ごとの販売実績は明らかにしてこなかった。iPodを例にとると、iPod ClassicやiPod nano、iPod Touch、iPod shuffle別の実績は明らかにしたことがなく、決算数字にはiPod全体の台数と金額が表示されるだけである。製品別の明細は、これは競合他社にとっては非常に価値ある情報となるであろう。それをAppleが明らかにしないのは当然と言えば当然のことである。
iPad miniの発売で平均単価は下落・・・しかし、歯止めがかかる
ともあれ、私はiPadの販売台数(決算書に明記してある)と金額(同左)、それにiPadとiPad miniの平均単価を入力すれば結果が直ぐに出力されるExcelの表を作成した。問題となるのは、iPadとiPad miniの平均単価である。
iPadの平均単価は、前掲の4回の試算では535円を使用した。それは2012年7月-9月の四半期の数字から持ってきたとしていたが、今回再度決算書を見ると508ドルとなっている。ここでもミスをしてしまったらしい。念のため過去の数字を確認してみると、下記のようにiPadの平均価格は一貫して低下しているという事実が判明した。
期間 | 販売金額(億ドル) | 販売台数(万台) | 平均単価(ドル) | 対前期 |
2011.10-12 | 9,153 | 15,434 | 593 | |
2012.01-03 | 6,590 | 11,798 | 559 | -6% |
2012.04-06 | 9,171 | 17,042 | 538 | -4% |
2012.07-09 | 7,133 | 14,036 | 508 | -6% |
2012.10-12 | 10,674 | 22,860 | 467 | -8% |
2013.0103 | 8,746 | 19,477 | 449 | -4% |
2013.04-06 | 6,374 | 14,617 | 436 | -3% |
2013.07-09 | 6,186 | 14,079 | 439 | 1% |
2012年10月以降の平均単価の下落は、明らかにiPad miniが追加されたことが最大の原因である。しかし、それ以前から四半期ごとに5%前後の下落を続けている。これは購入者にとって価格の重要性が増してきていることを意味しており、iPad miniの投入はその面からのてこ入れであったと見ることができる。また、iPad mini投入後は平均単価の下落率は持ち直してきており、今年の7月-9月の四半期では上昇に転じている。巷間、iPad miniの投入でiPadの平均単価が減少し、それがAppleの減益の理由の一つとされているが、少なくとも7月-9月のiPadでは歯止めがかかったことになる。
iPad miniが4,160万台、iPadが2,940万台
少々本題に戻るとしよう。今回の試算で使用した平均単価は、iPadが500ドル、ipad miniが415ドルである。Appleは2012年10月から2013年9月の1年間で7,100万台のiPadを販売したことを発表しているが、その内訳はiPadが2,940万台、iPad miniが4,160万台であったと推定した。