WebOSの記事を書いているときにHPが13,860円のAndroid搭載7インチタブレット端末を発売したという記事を見つけた。ストレージは8MBと16GBを用意しており、16GB自社の直販サイトのみの販売で価格は13,860円という格安モデルだとのこと。WebOSのところでも書いたが、HPが何をしようとしているのかまったく分からない。
タブレットは画質が最大の命
スペックで他社の7インチタブレットに劣るHP Slate 7
HP Slate 7の仕様を同時期に国内発売されたASUSのMemo Pad HD 7、それにこの記事を書いている時期に国内投入されたGoogleのNexus 7と比較したのが下の表である。
HP Slate | Memo Pad HD 7 | Nexus 7 | |
OS | Android 4.1 | Android 4.2 | Android 4.3 |
プロセッサー | Dual Core 1.6GHz | Quad Core Cortex A7 | Quad Core 1.5GHz |
RAM | 1GB | 1GB | 2GB |
ディスプレイ | 7型/HFFS | 7型/IPS | 7型/IPS |
解像度 | 1024×600 | 1280×800 | 1920×1080 |
ストレージ | 8/16GB | 16GB | 16GB |
メモリーカード | micrSD最大32GB | microSD最大32GB | × |
カメラ | 3MP/VGA | 5MP/1.2MP | 5MP/1.2MP |
サイズ | 197×116×10.7mm | 196.8×120.6×10.8mm | 200×114×8.65mm |
重量 | 370g | 302g | 290g |
バッテリー | 非公表 | 3950mAh | 3950mAh |
8GB | 13,860円 | ||
16GB | 19,800円 | 19,800円 | 27,800円 |
プロセッサーはQuad Coreに対してDual Core、解像度は1024×600という安いデジタルフォトフレームレベル、内蔵カメラも2~3ランク下、重量は2~3割り増しと多くの部分でASUSやGoogleを下回っている。そして価格は・・・・・・他が出していない容量の8GBで13,860円。これはまともなパソコンメーカーが作る製品とはとても思えない。
HFFSという視野角に優れた液晶を搭載
しかし、仕様的には他社に劣るHP Slate 7だが、誇るべきところは別にある。HFFSという液晶パネルを使用しているのだが、これは視野角に優れているとされている。実物を見ていないからなんとも言えないが、AppleのRetina程の反響は聞こえてこない。私の場合はHFFSとかIPSとか言う前に解像度が1024×600というところでこの端末の印象が固まってしまう。恐らく多くの人が同じだと思うが、その印象を打ち破るだけの実際の画質のインパクト姓が無いとなると、中国製の格安製品と同列に見られてもやむを得ないだろう。
高音質化技術のBeats Audio搭載
HP Slate 7のもう一つの誇るべくところは、タブレットでは初というBeats Audioを搭載していることである。Beats Audioは、米国のオーディオ機器メーカーであるBeats Electoronicsの製品に搭載されている高音質化技術の名前である。Beats Electoronicsは2010年にHTCの傘下に入ったことから、HTCのスマートフォンにはBeats Audioの技術を搭載した製品がある。2012年にHTCの傘下からは離脱しており、今回のHP Slate 7に搭載されることになったものである。
タブレット端末はディスプレイの高画質化が第一
スマートフォンを携帯デジタルオーディオ機器として利用しているユーザーは、かなり多いと思われる。日本の音楽配信はつい最近まで着うたフルが市場の大半を占めてきたが、その最大の理由は、携帯電話1台で音楽のダウンロードと再生が可能なところにある。スマートフォンもそれが可能なことから、スマートフォンユーザーは携帯デジタルオーディオを捨てることになる。従って、音質を強化するBeats Audioなどが圧約する場面が増加するわけだが、その動きが7インチのタブレットに行くことを想定してHPがSlate 7に搭載したのであろう。しかし・・・・・・タブレット端末はディスプレイを見るということが必須の機器であり、音は付随的な機能でしかない・・・・と私は考える。まあ、だからHPもディスプレイにHFFSを搭載して”見る”という機能を一応重視したのだろうが、そこは”一応”程度であってはいけないのである。HPは価格を安くするという努力よりも、画質をより以上に高くしながら別の付加価値をプラスする・・・・という努力をすべきであったと考える。