Appleの2012年10月~12月期の四半期決算を見ると、なんとなくiPad miniがどれだけ売れたのかが見えてきそうな気がする。iPad miniを含む全てのiPadの販売台数が2,286万台であり、金額は106億7,400万ドルである。9.7インチのiPadの平均単価とiPad miniの平均単価が分かれば直ぐに計算できる。9.7インチのiPadの平均単価は、前期(7月~9月期)と同じとすることで大きな問題はないと思われる。とすればiPad miniの平均単価だけを推定すれば販売台数の推定が可能である。
2012年末までにiPad miniは約1,100万台販売された
2次方程式を解く
x:iPad miniの販売台数、y:iPad(2と4合計)の販売台数とし、a:iPad miniの平均単価、b:iPadの平均単価とすると、
①x+y=2,286万台
②ax+by=106億7,400万ドル
という式が成り立つ。7月~9月期のiPadの平均単価は535ドルであることから、b=535ドルとしてこの2次方程式を解くと、
x=155610万台/(535-a)
が求められる。
iPad miniの平均単価を推定すれば販売台数が分かる
上記の解は、a(iPad miniの平均単価)に応じたx(iPad miniの販売台数)とy(iPadの販売台数)が算出できることを意味している。これを表に表したのが下の表である。
■iPad miniの平均単価に応じた販売台数試算
iPad miniの平均単価 | iPad miniの販売台数 | iPadの販売台数 |
200ドル | 465万台 | 1,821万台 |
220ドル | 494万台 | 1,792万台 |
240ドル | 527万台 | 1,759万台 |
260ドル | 566万台 | 1,720万台 |
280ドル | 610万台 | 1,676万台 |
300ドル | 662万台 | 1,624万台 |
320ドル | 724万台 | 1,562万台 |
340ドル | 798万台 | 1,488万台 |
360ドル | 889万台 | 1,397万台 |
380ドル | 1,004万台 | 1,282万台 |
390ドル | 1,073万台 | 1,213万台 |
400ドル | 1,153万台 | 1,133万台 |
420ドル | 1,353万台 | 933万台 |
440ドル | 1,638万台 | 648万台 |
460ドル | 2,075万台 | 211万台 |
問題はiPad miniの平均単価である。上掲の写真にiPad miniやiPadの価格が写っているが、これは小売店からコンシューマに販売される価格であり、ここで言う平均単価はAppleから小売店に販売される卸価格である。 その違いを分かった上で推定すると、iPad miniもiPad(2と4)も売れ筋は似ているのではないかと思われる。価格リスト上の重心が同じ部分いあるとすると、iPad miniの平均価格は390ドル前後であると推定される。上記の表で言えば、iPad miniの販売台数は1,073万台前後、9.7インチのiPadは1,213万台前後販売されたと推定される。
2013年はiPadの販売台数の半分をiPad miniが占める
調査会社のNPD DisplaySearchは昨年末、「Appleは2013年のiPad出荷台数として1億台を目標にしている。その内訳は、iPad miniが5,000万台、第4世代iPadが4,000万台、iPad 2が1,000万台だ」との予測を示している。NPDはディスプレイ専門の調査会社であり、Appleにディスプレイを供給しているメーカーの調査から出てきたものであることから、半数以上をiPad mini出占められるという予測には信憑性があると思われる。上記の推定も、iPad miniの販売期間が2カ月弱しかなかったことを考えれば矛盾はしていない。