総務省に塞がれていたSBのMNP優遇策の抜け穴

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4月1日から総務省の『スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン』が適用されたが、5日にはドコモとソフトバンクがガイドライン違反を指摘された。ドコモの場合は確かにガイドラインで認められた範囲外の端末購入補助となるようだが、ソフトバンクの場合は『端末購入を条件としていない』として総務省に反論している。

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総務省はガイドライン(案)に手を加えてソフトバンクのみつけた抜け道を事前に塞いでいた

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iPhone SE

『低容量/低廉な料金の新設』と『実質0円補助の抑制』

安倍首相の高市総務相への指示を受け、総務省は『ICTサービス安心・安全研究会』の中に『携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース』を設けた。タスクフォースは5回の会合が開かれ、昨年末の最終会合で総務相に提出する提言がまとめられた。2日後には3キャリアの社長が呼び出され、高市総務相から要請書が手渡された。要望書の骨子は『低容量/低廉な料金の新設』と『実質0円補助の抑制』にまとめることができ、3キャリアは2月に入って相次いで月額5,000円以下となる料金プランを発表した。また総務省は同じく2月22日に『スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン(案)』を公表し、3月25日に4月1日から実施するものが公表された。

タスクフォースのターゲットは端末購入補助に集約

2014年年明けに極端なキャッシュバック戦争が争われたが、総務省はその抜本的な改善には手を拱いていた。MNPへの過度の優遇策の元凶は総務省であることから、それ自体に抜本的なメスを入れることにためらいがあったのだろう。しかし、安倍首相と高市総務相の後押しを受け、一気にこれまでのMNP優遇策を排除しようとしたものと思われる。タスクフォースでは『実質ゼロ円』が問題視され、是正の対象が『端末費補助』に集約されていった。それが2月の『スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン(案)』にまとめられたわけだが、中に一つの大きなミスが存在していた。『端末費補助』の定義の部分で、『スマートフォンの購入を条件』とする文言が入っていたのであった。

端末購入を外す抜け穴を見つけたソフトバンク

端末販売店の店頭では、『実質ゼロ円』や『一括ゼロ円』という表示が大々的に表示されている。『実質ゼロ円』は端末価格分の支払額がゼロ円となるもので、『一括ゼロ円』は端末化価格分だけ通信費を割り引くもの。いずれも端末価格を基準にした設定となっており、ガイドラインでは『実質ゼロ円』と『一括ゼロ円』をともに『端末費補助』として捉えている。そこででてきたのが2月に示されたガイドライン案なのだが、ソフトバンクはその中に一つの抜け道を見つけ出した。ソフトバンクは2015年9月から『のりかえ割』という割引を行ってきたが、適用条件には他社からの乗り換えに加えて指定機種の購入が含まれていた。しかし、2016年1月28日からは端末購入を条件から外したのであった。

ソフトバンクはMNPでも端末補助で実質432円を実現

ソフトバンクは、4月1日から『かえのり割パワーアップキャンペーン』を開始している。これは他社からのMNPに対して月額450円を24ヶ月間割り引くもので、iPhoneなどの端末購入は条件にはなっていない。これは従来の『のりかえ割』に追加されることになるが、金額はと割引期間は1,393円×12カ月(データ定額パックの場合)から432円×24カ月に変更された。但し、端末購入の条件は復活しており、この部分はガイドライン上の『端末費補助』にあたる。何故金額と割引期間を変更したかというと、ここで『実質ゼロ円』が関係してくる。ソフトバンクでiPhone SEを購入すると、MNPの場合は2年間で10,800円の自己負担が発生する。これが『のりかえ割』の適用で432円×24カ月=10,368円割引され、結果的に10,800-10,368=432円となって『実質ゼロ円』ではなくなる。

ガイドライン(案)のままだと反論できたが・・・・

ソフトバンクが総務省に指摘されたのは、『多くの機種においてスマートフォンの価格に相当する額以上の行き過ぎた端末購入補助が行われていると認められる』というものであった。『実質ゼロ円』以下となる割引があるとしており、それは上記の総務省に塞がれていたSBのMNP優遇策の抜け穴のことになる。『のりかえ割』の適用でソフトバンクのiPhone SEは実質432円となり、更に『かえのり割パワーアップキャンペーン』で10,800円の割引が受けられる。これに対してソフトバンクは『MNPを利用するユーザー向けの割引は端末購入を条件としておらず、端末購入補助には当たらないと認識して設定した』と説明している。総務省のガイドライン(案)のままであればソフトバンクの説明に一理あるが、総務省の官僚も馬鹿ではない。ソフトバンクの見つけた抜け穴は、事前に塞いであったのだった。

MNP優遇はソフトバンクの死活を制する

3月25日に公開されたガイドラインは2月公開の案と殆ど同じだが、一部手直しされている。『端末購入補助』の脚注の一番最初に付け加えられたのは、『端末の購入を条件としない場合であっても、MNPによる通信契約の締結を条件とする場合については、スマートフォンの購入を条件とするものとみなす』という文章であった。ソフトバンクが『のりかえ割』の条件から端末購入を外した段階で、総務省の官僚(もしくはアドバイザーとなっている人物)がソフトバンクの手の内に気付いたのであろう。ということで、ソフトバンクは『端末購入補助には当たらないと認識して設定』という『説明』にならざるを得なかった。しかし、MNP優遇はソフトバンクにとって死活を制するものであり、このままで引き下がる訳には行かないだろう。今後の動きが注目される。

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