スマホの低料金コース新設を提言させただけの総務省

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安倍首相の指示で携帯電話料金の引き下げを検討していた総務省の有識者会議は、16日にスマホの低料金コースの新設を主な内容とする提言をまとめた。しかし、料金水準の目標額は示しておらず、実効性のあるプランがキャリアからでてくる可能性はかなり低いと思われる。総務省はこれまでMVNOによる競争促進でスマホの料金低下を実現させようとしてきており、ユーザーをキャリアにとどめ置くことに繋がるキャリア自身の低料金コースの新設は矛盾している方策となる。

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総務省が行ってきたMVNOによる競争促進と矛盾する提言を盛り込んで安倍首相と総務相の顔を立てた総務省の有識者会議

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スマホにしないでガラケーのままだと携帯電話料金は安い

総務省がこれまで勧めてきたものと矛盾することを検討せざるを得なかったのは、思いつきで指示した安倍首相とそれに迎合して請け負った高市総務相の存在であった。安倍首相は安保関連法案をごり押しした善後策として、いかにも国民のために政治を行っているかのようなポーズを取り続けている。そもそも携帯電話の料金は決して高いとは言えず、当てはまるのはスマホに限られている。無理にガラケーからスマホに乗り換えようとするから料金が高くなるのであり、ガラケーのままであれば月1,300円程度で利用可能である。また、MNPで他キャリアに転出した場合、その金額を半額以下にすることも可能である。9月にガラケーをドコモからKDDIにMNPしたが、月々の支払は最低額が726円みまで低下した。更にKDDIは端末の下取りを行っており、ガラケーもその対象で10,800円分のポイントが付与される。このポイントは毎月の支払にも利用できることから、726円を500円引きの226円にまで下げる事ができた(3,000ポイントコースを選択して18ヶ月間の適用)。

毎月の料金から一定額が差し引かれる『一括ゼロ円』

有識者会議では『料金プランの多様化』や『端末代の透明化』、更には『格安スマホの普及』という3つのテーマに絞って話し合われてきた。『端末代の透明化』では、『実質ゼロ円』などの大幅な値引きをする手法が問題とされた。しかし、それとは別に『一括ゼロ円』という値引き方法があり、これだと端末代金がゼロ円となると共に毎月の料金の割引が受けられる。前述のKDDIのガラケーの場合、端末価格はゼロ円に加えて毎月割という名前で毎月810円が差し引かれている。本来の月額料金はオプションを含めて1,536円なのだが、それから810円引かれてでてきたのが前述の726円なのであった。『一括ゼロ円』はiPhoneでも行われており、最新のiPhone 6Sが発売された後には1年前に発売されたiPhone 6が『一括ゼロ円』で売られている。KDDIにMNPした場合、iPhone 6s(16GB)だと月額約8,200円となるが、型落ちのiPhone 6だと約6,000円となる。また、端末の下取りも行われ、ガラケーやAndroid端末だと前述の10,800円だが、iPhoneの場合の下取り価格は高めに設定されている。2年前に発売されたiPhon 5s(16GB)は、20,520円(分のポイント)で下取りしてくれる。これを毎月の料金支払に当てた場合、毎月の支払額が更に1,000円低下して約5,000円になる(6,000ポイントコースを選択して18ヶ月間の適用)。

MNP優遇リベート体系は総務省が作らせた

スマホでもやり方次第で料金を低くすることが可能なことを述べてきたが、問題はそれが可能なのは他のキャリアに乗り換えた場合のみとなるところにある。MNPでの乗り換えに際して支払われるキャリアから代理店へのリベートがそれを可能にしているわけだが、2007年にリベートの支払対象は『契約』のみに絞られた。それまでは『端末』も対象となっていたのだが、端末を買い換えるユーザーを優遇するのには問題ありという事でリベートの支払対象から外された経緯がある。機種変更での割引額が急減したことから、翌2008年には携帯端末の販売量が激減することになった。端末販売の減少は代理店の売上減に直結し、多くの代理店が苦境に陥ることとなった。代理店の救済を行うにあたり、各キャリアが行ったのは『契約』に伴うリベートの積み増しであった。そしてその効果を十二分に発揮したのが、ソフトバンクが一手に扱うこととなったAppleのiPhoneであった。

スマホの低料金コースの新設でお茶を濁した有識者会議

現在のMNPを優遇するリベートの体系は必然的に生まれてきたものであり、これをぶち壊すことは総務省主導の下では極めて難しいといわざるを得ない。従って、今回の提言でもリベートそのものに手をつけることはできず、上限額を定めることも行っていない。有識者の提言は、キャリアに大幅な端末の値引きをする手法の見直しを求めただけに止まっている。一方、『格安スマホの普及』については、キャリアに契約者情報の開放を求めただけで終わっている。格安スマホ=MVNPに関しては『2年縛りの見直し』や『SIMロック解除の義務化』という実効性のある手を既に実施しており、新たな提言が出てくる余地はなかったといえる。つまり、『端末代の透明化』や『格安スマホの普及』という2つのテーマについてはやる前から限界が見えており、まったく無駄なテーマであったのは明らかである。唯一、『料金プランの多様化』だけが目新しい提言となったが、これまでの総務省の動きと矛盾したものであり、具体的な目標額までには踏み込めなかった代物となった。 安倍首相の指示から始まった以上、もっともらしい提言に見せかける必要があったのだろう。

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