Windows Mobileを復活させても何も変わらない

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Microsoftはこの夏、OSのWindowsをWindows 10にメジャーバージョンアップする。先日、Windows 10のラインナップとして全7エディションが発表されたが、スマートフォンやタブレット向けのエディションとしてはWindows 10 Mobileが用意される。MicrosoftはWindows 10で一つのプラットフォームに統合するとしており、スマートフォンやタブレット向けに用意していた従来のWindows Phoneはなくなった。Windows Phoneの前はWindows Mobileという名称であったことから、Windows 10でそれが復活したかのような形となっている。

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Microsoftのスマートフォン向けOSは失敗続きの歴史を刻んできた・・・・Windows PhoneをWindows Mobileに戻しても大きな変化はないだろう

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Windows 10 Mobile

プッシュメールで技術的に優位であったWindows Mobile

Microsoftの携帯電話向けOSは、2003年にリリースされたWindows Mobile 2003が最初であった。しかし、Microsoftが本格的に端末メーカーに売り込みを図ったのは、2005年にリリースしたWindows Mobile 5からであった。当時はカナダのRIM(現在はBlackBerry)が発売したBlackBerryが大躍進中であり、それに真正面から対抗できる携帯電話のOSとしてMicrosoftが自信をもって送り出したのがWindows Mobile 5であった。RIMのBlackBerryは、会社のメール(Exchange、Notes)を端末にプッシュするサービスで欧米のビジネスマンの多くを虜にしようとしていた。RIMのプッシュメールは専用のサーバー(BES:BlackBerry Enterprise Server)を構築することで実現していたが、Microsoftの場合は企業向けに独占的なMicrosoft Exchangeと直接連携するシステムであった。

プッシュメールも多機能情報端末機能もバッテリーの消耗を早めただけ

RIMのBlackBerryは、iPhoneが登場するまではスマートフォンの代名詞となっていた。BlackBerry大躍進の最大の理由は会社のメールがプッシュ配信されるところにあったが、同じ機能をより簡素に提供できるWindows MobileはBlackBerryの牙城を取り壊すことはできなかった。Microsoftが開発したプッシュメールの仕組みは、当時のバッテリーの貧弱な能力のもとでは持ち時間を大きく減少させる原因となってしまった。また、Windows Mobileは後のiPhone同様の多機能情報端末でもあったが、当時のCPUやメモリー、画面の解像度の貧弱さの中では大きな魅力とはならなかった。当時のWindows Mobile搭載製品の写真を見ると明らかだが、キーボードを備えた製品は画面が小さく、画面とキーボードをスライド式にした製品は筐体が大きくなりすぎている。

スマートフォンの多機能情報端末化を行ったiPhone

BlackBerryが大躍進する中、スマートフォンの世界に多機能情報端末としての機能で勝負をかけてきたのがAppleであった。キーボードやナンバーキーは当然のこと、余分なキーを一切廃して全画面ディスプレイとしたiPhoneを投入したのであった。iPhoneはディスプレイ上の複数の指の動きを感知するマルチタッチに対応しており、これまでにないまったく新しい操作方法を採用した。また、初代iPhone発売後の2008年にはアプリの開発をサードパーティに解放したことから、iPhoneの千差万別の利用法が生まれることとなった。尚、Appleは2008年6月にはクラウドストレージサービスMobileMeの提供を開始しており、MobileMeのメールサービスはExchangeサーバーを採用したことでプッシュメールが可能であった。Appleは第2世代iPhoneを発売した2008年7月までに、その後のスマートフォンの標準となるサービスと機能を構築し終わっていた。

多機能情報端末を求めるユーザーは殆どスマートフォンに移行済み

これまで述べたことは、その殆どが欧米での出来事である。日本の場合、ガラケーが存在したことで欧米とは少し異なった展開となった。ガラケーは以前からプッシュメールに対応しており、プッシュメールができることが欧米ほどはスマートフォンの優位性とはなり得なかった。従って、海外ではiPadやAndroid端末が発売された2008年以降は急激にスマートフォンのシェアが広がったが、日本ではその動きは2~3年遅れることとなった。そしてガラケーからスマートフォンへの移行の動きは、去年辺りからそのペースが遅くなっているようである。携帯電話に多機能情報端末の機能を求めるユーザーはiPhoneを中心としてスマートフォンに転換したが、それを求めないユーザーは従来のガラケーを捨ててスマートフォンに移行するニーズは殆ど無い。

マルチタッチ対抗Modern UIも成功せず

BlackBerryからシェアを奪えなかったMicrosoftは、iPhoneに対抗するためにWindows Mobileを捨てて新たにWindows Phoneの開発に向かった。しかし、Appleのマルチタッチと直接対抗することを避け、当初はMetro UI、後からModern UIに変更した新しいユーザーインターフェイスを採用した。画面に敷き詰められたタイル状のアイコンをタッチして操作する方法だが、iPhoneやAndroid端末の洗練されたマルチタッチによるユーザーインターフェイスとは勝負にならなかった。Windows Phone初代のバージョンは2010年9月にリリースされたが、搭載機器を大きく増やすことはできなかった。現在、Windows Phoneを搭載した端末を発売しているのは大手ではMicrosoftが2014年4月に買収したNokiaのみとなっており、世界シェアも2014年は3%程度しかないとされている。日本では2011年7月にKDDIが東芝ブランドで発売した製品があるのみ。

スマートフォンやタブレット向けOSの無料化に踏み切ったMicrosoft

発売以来、着々と失敗の歴史を刻んできたMicrosoftのスマートフォン用OSだが、Windows PhoneからWindows Mobileに(呼び方を)戻すことで状況を大きく変えることができるのであろうか。可能性があるとすると、それはAndroidと戦うことしかないのは明らかである。Appleは自前のOSであるのに対し、Androidは多くのメーカーが採用する汎用のOSである。MicrosoftはNokiaを買収して傘下に置いたが、OSは多くのメーカーに採用してもらう汎用OSとして用意している。従って、Windowsを採用するメーカーを増やすことが当面の最大の目標となる。採用するメーカーが集まらない中、Microsoftは8インチ以下のスマートフォンやタブレットへのOSの無料化に踏み切った。その発表は2014年4月になされたが、大手メーカーでWindows Phone搭載に踏み切ったというニュースは流れていない。OSを無料化することでシェアを拡大しようという試みは、現時点ではうまく行っているとは言いがたい状況にある。

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