iPhone用キャリアメールのプッシュとマルチデバイス対応

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ドコモのキャリアメールが9月24日、ようやくプッシュメールとなった。これでiPhoneを扱う3キャリアのキャリアメールは全てがプッシュメールとなり、また通常のEメール同様のマルチデバイス対応となった。プッシュメールはガラケーでは当たり前の機能であったが、iPhoneではその実現に各キャリアはかなり苦労してきた。また、本来のキャリアメールはそのアドレスを持つ電話端末でしか送受信できず、パソコンやタブレット端末では利用することができなかった。

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プッシュでガラケーに追いつき、マルチデバイスでEメールに追いつく

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Malti Device

サーバーをキャリアのネットワークからインターネット上に

ガラケーのメールはサーバーにメールが届くと同時に端末にプッシュされ、受信音と共にメール本体が受信される。この仕組みはiPhoneの場合、Appleが提供するiCloudメールでは実装されている。しかし、キャリアが提供するキャリアアメールはその仕組みをキャリアが組み込む必要があり、iPhone取り扱い当初は3キャリアとも対応していなかった。そもそもガラケー向けのキャリアメールは仕様が各社バラバラであり、パソコンで利用できるEメールのようにプロトコル(通信規約)が定まっていなかった。ガラケー時代のキャリアメールはiモードやEZwebなどのキャリアの専用ネットーワーク内に置かれたメールサーバーで運用されていたことから、各社各様の仕様でも問題なく機能していた。しかし、スマートフォンの時代となると、メールサーバーは専用ネットワークから出てインターネット上に置かれることになった。このことはキャリアメールがEメール化することを意味しており、その上でキャリアはプッシュメール対応を迫られることとなったのだった。

ソフトバンクとドコモは「プッシュ通知」で擬似的にプッシュメール化

iPhoneの日本発売は2008年にソフトバンクが勝ち取ったことから、当初はMNPによる購入者が大半であったと思われる。MNPだとそれまでのキャリアメールは使えなくなり、必然的にメールアドレスを変更することになる。また、ソフトバンクのキャリアメールは携帯電話のMMSというメッセージサービスに準拠しており、当時のiPhoneはその規格をサポートしていなかった。そのため、初期のiPhoneユーザーは、全てがメールアドレスの変更を迫られた。ソフトバンクはiPhone専用のメールアドレス(@i.softbank.jp)を用意したが、そのメールはプッシュメールではなかった。但し、メールをサーバーが受信すると同時に携帯電話のSMSというメッセージサービスで端末に通知する仕組みを用意しており、擬似的なプッシュメールは実現させていた。その仕組みをここでは「プッシュ通知」とする。「プッシュ通知」はドコモもiPhone取扱開始3カ月後の2013年12月に導入したが、KDDIはiPhone取扱5ヵ月後の2012年3月にプッシュメールに対応させたことで「プッシュ通知」を導入しないままであった。

本来のキャリアメールアドレスが使用できないことが幸いしたソフトバンク

ソフトバンクが2008年に用意したiPhone専用のキャリアメールは、普通のEメールのサービスであった。従って、パソコンやiPadなどでそのメールアドレス(@i.softbank.jp)のメールが送受信できる。つまり、ソフトバンクのiPhone用キャリアメールは、最初からマルチデバイスに対応していたのであった。また、前述の通り、擬似的なプッシュメールである「プッシュ通知」にも対応していた。本来のキャリアメールのアドレス(@softbank.ne.jp)がiPhone側の問題で使用できないことが幸いし、結果的に「プッシュとマルチデバイス対応」に最も近い状態を最初から実現していたことになる。尚、ソフトバンクは「プッシュ通知」を2014年1月にプッシュメール化しており、本来的な意味での「プッシュとマルチデバイス対応」を実現したのも3キャリアの中では一番早かった。しかし、iPhone発売開始時点から数えると6年が経過しており、そういう意味では他の2キャリアよりも長い年月を要していた。

iPhone取り扱い開始と共に始まったspモード崩し

ドコモは、ガラケーと同じキャリアメールアドレス(@docomo.ne.jp)が使用できるSPモードメールを2010年9月から提供していた。ドコモはガラケーで構築したiモードの世界をスマートフォンでも作ろうとしたのであるが、それは大きな誤りであった。スマートフォン時代にキャリアが求められているのは通信機能のみであり、主要なサービスはiPhoneやAndroid端末のメーカーが担うことになる。また、スマートフォンユーザーはインターネット上の様々なサービスを利用でき、キャリアの枠内に留まることを欲しているはずが無い。そこを見誤ったドコモはsPモード内にドコモマーケットを開設し、ユーザーを囲い込もうとした。メールシステムも従来のiモードメール同様、自社の専用ネットワーク内にサーバーを置くシステムを構築してしまった。ドコモがspモードにこだわったのがiPhone取り扱い遅れの大きな要因であったが、iPhoneを獲得した現在、ドコモが行っているのはspモード離れ・・・・というよりも、spモード崩しそのものである。

docomo IDはオープン化されてdマーケットはキャリアフリーに

iモードはWikipediaなどでは携帯電話のインターネット接続サービスと説明されているが、実情を最もよく表しているのは携帯電話向けのコンテンツ配信サービス・・・・より正確にはコンテンツ配信への課金サービスというものである。コンテンツ配信の課金サービスを代行することで9%程度の手数料を得ており、これが莫大な売上となっている。そのスマートフォン版がspモードという訳だが、ドコモが狙った役割はiPhoneにおいてはAppleが担っている。AppleはiTunes StoreやApp Storeを利用する端末としてiPhoneやiPadを発売しているのであり、そこで配信されるコンテンツと端末は一体となっている。そもそも、AppleのApp Storeのモデルはドコモのiモードとされており、Appleの役割(Apple IDの役割と言い換えても良い)をドコモに渡すことは絶対にありえないことである。結局、dモード内のコンテンツストアの利用するために必要なdocomo IDをオープン化し、2014年4月1日以降はdマーケット内の全てのストアがキャリアフリー化されている。

iPhone向けドコモのキャリアメールはドコモメールに統一

ドコモはiPhone 5s/5cの発売には間に合わなかったが、翌10月にはiPhoneでspモードメールが利用できるようにした。そして12月にはクラウド上のサービスであるドコモメールをiPhoneでも使えるようにしており、同時に「プッシュ通知」にも対応させた。つまり、現在はドコモメールに統一されたspモードメールをワンステプで挿入し、2ヵ月後に「(擬似的な)プッシュとマルチデバイス対応」を果たしていたことになる。この慌てぶりからすると、dモードメールを中心とするdモード崩しのスタートは、ドコモのiPhone取り扱い決定直後のことと思われる。そして本格的な「プッシュとマルチデバイス対応」を行った9月24日、spモードメールはドコモメールに統一されることになった。

3キャリアのプッシュとマルチデバイスへの取組み

一つ付け加えておかなければならないことは、ソフトバンクとKDDIはこれまで述べてきたキャリアメールだけでなく、MMSをベースに作られたキャリアメール(メッセージ)も提供してきたことである。MMSの表示はチャット形式であるところに特長があり、どちらかというと若者が対話形式で利用しているサービスと思われる。使ったことが無いので間違っているかもしれないが、ここではiPhoneのメールはビジネス用途で使われることをを想定しており、MMSをベースとしたサービスについては触れなかった。

「プッシュとマルチデバイス対応」について、MMSでは無いキャリアメールについて3キャリアの動向を表にした。

3キャリアのプッシュとマルチデバイス対応動向

  ドコモ KDDI ソフトバンク
サービス名 spモードメール ドコモメール Eメール Eメール(i)
メールアドレス @docomo.ne.jp @ezweb.ne.jp @i.softbank.jp
提供開始 2013/10 2013/12 2011/10 2008/07
プッシュ通知対応 2013/12 ×
プッシュメール対応 ×(注) 2014/09 2013/03 2014/01
マルチデバイス化 × 2014/06

●:開始時から対応 ×:対応していない

注:プッシュメール対応と同時にドコモメールに切り替え

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