SIMロック解除義務化であってSIMフリー化ではない

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先週末、総務省が携帯電話のSIMロック解除を来年にも義務化する方針であることが報道され、大きな関心を集めた。報道各社は、このことによって従来の携帯電話の販売方法が大きく変わる可能性について記事にしている。しかし、ここで指摘したいのは、総務省が導入しようとしているのは「SIMロック解除の義務化」であって「SIMフリー化」ではないということである。言い換えると、「SIMロックでの販売は従来通り行っても良いが、その解除は何時かは行わなければならない」ということである。

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米国ではSIMロックで販売して一定条件下でロック解除

sim-card

SIMカード

最新機種が安く手に入るメリット

現在、日本の携帯電話(スマートフォンを含む)は、SIMロックされた状態で販売されている。SIMロックされている場合、購入したキャリア以外のSIMカードを挿入しても携帯電話として使うことはできない。しかし、キャリアは端末代金を月々の利用料から割り引くサービスを行っており、SIMロックと2年縛りはペアにして適用されている。ユーザーにとっては安い端末代で最新機種を手に入れることが可能となり、必ずしもキャリア側だけにメリットがある制度とはなっていない。尚、現在は「解除義務」ではなく「努力目標」となっており、ドコモは様々な条件付ではあるが、手数料をとってロックを解除するサービスを提供している。KDDIやソフトバンクの場合、一部の機種についてのみSIMロック解除に応じている。

現在の端末市場はSIMロックで作られている

条件付ながらSIMロック解除に応じているドコモであるが、昨年から販売に加わったAppleのiPhoneについては対象外となっている。当然ながら、KDDIやソフトバンクもiPhoneについては応じていない。iPhoneについてはキャリアの端末代負担額が大きく、その回収期間を長く取っておきたいという事情がある。しかし、iPhoneがSIMフリー(SIMロックをかけない)のみで販売された場合、キャリアは顧客側への最大のインセンティブを失うことになる。これはキャリアにとっては大きなデメリットであり、Appleにとっても日本のキャリアの最大限の協力が得られなくなることを意味している。また、iPhoneだけでなく、現在の携帯電話の市場を支えているのはSIMロックによる販売方法であり、それを即SIMフリーに転換すれば市場の急速な縮小を招くことは火を見るより明らかである。

総務省はSIMフリー化したい訳ではない

上記のことは総務省も分かっており、彼らが行おうとしているのはSIMフリーでの販売の義務化ではなく、(SIMロックで販売された端末の)SIMロック解除の義務化である。恐らく、米国で行われている販売方法を日本でも取り入れようとしているのであろう。米国の場合、端末はSIMロックされた状態で販売されるが、一定条件を満たせば解除コードが発行されるとされている。一定条件とは「2年縛りによる端末の分割支払いを完済」などを指しており、これまでの日本の売り方との違いはない。要は売り方を大きく変化させるものではなく、これまでの「努力目標」を「義務」にしただけに過ぎない。端末の販売方法を大きく変えることなしに格安MVNOへの乗り換えを促進させ、高止まりとなっている通信料の引き下げにつなげる・・・・というのが総務省の考えなのだろう。

SIMロック解除の義務化で大きく変化することはない

キャリアは早期のSIMロック解除を防止するため端末の価格を高めに設定し、解除時の支払額を多くしようとする可能性がある。しかしiPhoneの場合、日本でもApple StoreでSIMフリー版が販売されている。今後も販売されるのは間違いなく、キャリアの意図的な価格設定はやりにくいだろう。それよりは、契約期間を少しでも長くすることを考えるかもしれない。また、2年縛りのままだとしても、違約金は高くなる可能性もある。以上述べた程度の変化は起こる可能性があるが、SIMロック解除の義務化によってこれまでの販売方法が根底から変わる、ということはないだろう。

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