優等生を演出する純増数トップのソフトバンクの狙い

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各キャリアは7日夕刻、月次報告としては最後となる2014年3月の携帯電話契約数の発表を行った。純増数のトップはソフトバンクが獲得し、2月にトップとなったドコモから再度奪い返すことに成功した。ソフトバンクは2007年5月にKDDIからトップを奪取したが、それから先月までの83カ月中の93%となる77ヶ月でトップをキープしていた。それがソフトバンクの株価格高値維持に大きく貢献していたが、月次の報告は当のソフトバンクの発案により、今後は4半期単位での報告となる。

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攻めから守りの姿勢に転換したソフトバンク

softbank+sprint

SoftBank+Sprint

契約純増数のカラクリ

ソフトバンクは、デジタルフォトフレーム(DPF)の契約数などで純増数を膨らませてきた。当初はDPFの本体価格をゼロ円で配布(?)するだけで、毎月の通信料は徴収していた。しかし、現在は25カ月間は通信料を無料にするキャンペーンも行っており、なりふり構わぬ契約数の水増しを続けている。それが株価に反映していた訳だが、日本の投資家というのは純増数が見せ掛けの数字からできていることを本当に知らないのだろうか。ソフトバンクだけでなく、ドコモの純増数の中にはMVNOの契約がかなり占めていることは少し調べれば分かることである。まてよ、投資家もそれに気が付いて、最近は株価へあまり影響しなくなったのかもしれない。それとも、ソフトバンクが純増数トップをとり続けることに疲れ果てたのだろうか。

率先してキャッシュバック戦争から撤退

3月にキャリア各社のキャッシュバック戦争が泥沼化したとき、いち早く撤退を決めたのはソフトバンクであった。3月中旬に代理店に対して「キャッシュバックが高騰して健全でない状況を通信事業者として問題視しており、率先して是正を図る」とメールで通知したとされている。また、1契約当たり最大5万円であった販売奨励金を3万円に引き下げることもマスコミに流しており、かつてとは大きく異なる優等生振りを見せている。

転んでもただでは起きないソフトバンク

ソフトバンクの豹変振りは何が理由なのだろうか。この間のキャッシュバック戦争はMNP乞食を潤すばかりであり、MNP転入増は直ぐに転出する予備軍を生んでいるに過ぎない。つまり、キャッシュバック戦争を続ければ続けるほど経費がかさむことになり、財務体質は悪化することになる。iPhoneでリードする時代は終焉し、今後はVoLTEやLTE-Advancedなどで3キャリアは同じ土俵で戦うことになる・・・・・どうせ止めるのならば、率先して止めることで得点を稼いでおこう・・・・というのが真意なのではなかろうか。転んでもただでは起きないソフトバンクのソフトバンクたる所以である。

VoLTE時代を見据えたことの実態

一方、ドコモとKDDIがVoLTE導入を明らかにする中、ソフトバンクはVoLTEは導入しないものの、「VoLTE時代を見据えた」新しい料金体系を発表した。1月24日に発表していたものだが、その内容には多くの批判が集まっていた。そこでソフトバンクは改定案を修正して4月21日から導入するのであるが、定額プランといいながら一定以上の通話には従量制の課金を残したままとなっている。つまり、3Gでの通話が当分の間残ることを前提とした料金体系となっている。VoLTEを導入してもLTEがカバーしていない地域では3Gを使用することになり、通話の定額制を導入すると繋がりにくくなる恐れがある。ソフトバンクもVoLTEを導入せざるを得なくなるだろうが、導入しても繋がりにくくならないように事前に新しい料金体系で通話回数の制限を行っておく・・・・というのが「VoLTE時代を見据えた」ことの実態ではなかろうか。

攻めの姿勢から守りの姿勢に

 ソフトバンクは2008年以降、AppleのiPhoneを武器に日本の携帯電話業界を席巻してきた。しかし、2011年にKDDIが参入したことで独占状態が崩れ、昨年からはドコモの参入で三つ巴の争いに突入した。これまではドコモがiPhoneの草刈場であったが、昨秋以降は過激なキャッシュバックでしか取り込めない状況となってしまった。一方、LTEは3キャリア横並びで導入しており、今後はVoLTEやLTE-Advancedなどの導入の速さや品質で競争することになる。ソフトバンクはそこでの投資に加え、買収したSprintの再建も行わねばならない。過剰なキャッシュバックを止め、契約の純増数に振り回されることを止めたのは、すべて自らの事情から発したものである。そしてソフトバンクが選択したのは、これまでの攻めの姿勢から180度転換した守りの姿勢であった。 それがソフトバンクが、あたかも優等生になったかのように見せているのである。

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