今日、Googleで「ドコモ 純増数 1月」で検索し、最初に出てくるニュース検索結果の内容を抜書きしてリストにしてみた。そのどれもが、11月は「iPhone効果が見られず」だったが、ようやく12月になって「iPhone効果で純増数1位」となった。しかし、それも「息切れして3位に転落」というストーリーで貫かれている。
- 携帯電話1月純増数はソフトバンク首位返り咲き、ドコモ転出止まらず—REUTERS
- 2014年1月の携帯電話純増数はソフトバンクが首位、ドコモは3位に転落—ITpro
- ドコモの純増数は「一か月天下」、SBMトップに返り咲き—livedoor NEWS(2/8)
- 純増数、ソフトバンクモバイルが1ヵ月でトップ奪い返す—livedoor NEWS(2/7)
- ソフトバンク、2か月ぶり首位奪還…携帯純増数—YOMIURI ONLINE
- 1月携帯契約件数、ソフトバンク2カ月ぶり首位 ドコモは3位 —日経新聞(電子版)
- ソフトバンク、1位奪還=ドコモ3位—1月純増・携帯電話契約状況—THE WALL STREET JOURNAL
- 1月の純増首位はソフトバンクが返り咲き、累計3500万契約を突破—WirelessWire News
メインターゲットはドコモのFOMAユーザー
ドコモの数字にはMVNOが含まれている
メディアはキャリアの契約の純増数(または純減数)を注目しているが、現在は契約数の増減は何の意味も持っていない。携帯電話の契約数には通信モジュールの契約が含まれており、デジタルフォトフレーム(DPF)などがカウントされている。ソフトバンクはDPFを無料で配布することで契約数増を演出している。また、ドコモの場合もMVNOでの契約数を上乗せして発表している。つまり、現在の携帯電話の契約数は、スマートフォンを含む携帯電話端末の契約数ではない。
通信モジュールも契約数に含まれている
1月の数字を見てみると、通信モジュールを除くと1位はKDDIとなる。また、ドコモの純減数が多かったのは、2年前に販売した2年契約のデータプランの解約が多かったことが理由だとしている。ドコモはその数字を発表していないからその影響の度合いは分からないが、数字を単純に見てはいけないことは確かであろう。重要なのは契約数ではなく、MNPでの増減にあることは誰もが気がついているはずである。ただ、この数字はTCA(電気通信事業者協会)からは発表されず、キャリア各社が自主的に発表しているらしい。従って、TCAのサイトで過去の実績を見ることはできない。
MNP乞食はキャリアが生んだ
現在、キャリア各社はMNPによるユーザーのぶんどり合戦を行っている。今回ドコモのMNP転出超過数が悪化したが、その原因としてドコモはKDDIやソフトバンクのキャッシュバック攻勢を挙げている。しかし、MNPでの転入者を優遇する施策はどこでもやっていることであり、MNPを利用して2年サイクルでキャリアを替えることや、キャッシュバック目当てにMNP用の端末を用意する行為はかなり広がっているようである。これはキャリア自らが招いた結果であり、ドコモも文句を言える立場ではない。
ターゲットになっているのはFOMAユーザー
MNPでのKDDIとソフトバンクのメインターゲットは、ドコモのFOMAユーザーである。ドコモのiPhoneユーザーはこれまでいなかったことから当然対象外だが、Android端末ユーザーもこの時期にMNPする理由は考えられない。iPhoneが欲しければドコモで買えば良いのだし、本当にiPhoneが欲しい人はとっくにソフトバンクかKDDIで購入しているはずである。結局残っているのは、iPhoneにするかしまいか迷いながらFOMAを使い続けていたユーザーだけとなる。彼らにすると、MNPでドコモから転出すればiPhoneがただで手に入り、毎月の料金が減額されて更にキャッシュバックで現金が入る・・・・・これは大きな魅力となるのは間違いない。
更に多くのMNP乞食が生まれる?
ドコモにとって、MNP転出防止をするのは大きな決断が必要となる。MNP転入ではこれまでいなかったユーザー(出戻りを含む)が増えることになり、販促費をいくら使っても最終的にはプラスが見込める。しかし、FOMAユーザーを引きとめるためにコストをかけることは、FOMAからXi(クロッシー)に乗り換えさせることによる増収分を減額することになる。今は、何もしないで転出するのを黙って見ているほうがよい・・・そして、2年経ったらMNPで取り戻そう・・・と思っているのかもしれない。となると、更に多くのMNP乞食が生まれるのを見逃すことになる。