このところ、ドコモがMNPでKDDIやソフトバンクの後塵を拝している件を何度か記事にしてきた。そこで触れてきたのは、ドコモユーザーがドコモでiPhoneを購入する(=機種変更)よりも数倍も得をする条件をKDDIやソフトバンクが打ち出してきたことであった。しかし、年が明けた現在、ドコモも投売りといって良いほどの条件で反転攻勢に出ているようである。
MNP転出防止ではなくてMNP転入増の戦術
とうとう踏み込んだiPhone一括ゼロ円
ドコモはiPhoneの販売開始後もMNPによる転出に歯止めがかかっていない訳だが、その対抗策としてMNPによる転入を増加させる戦術を採用することになった。転出を防止するのではなく、転出以上に転入を増やそうというのである。そしてその武器として持ち出してきたのは他のキャリア同様、①一括ゼロ円と②月次費用の減額、そして③キャッシュバックである。①一括ゼロ円というのは分かりにくいが、本体価格がゼロ円となった上にその価格分の月次費用が安くなることである。
一括ゼロ円が可能な合理的根拠は、私はどう考えても分からない。逆にキャリアの月次費用が高すぎることを証明する根拠となると思うのだが、どうなのだろう。
MNPでは月次費用もほぼ半額に
1月13日に月額780円の基本料金が1年間割引される「ドコモウエルカムキャンペーン」が終了したが、14日から新たに「ドコモのりかえ割」がスタートした。「ドコモのりかえ割」では割引額は同じだが、期間は倍の2年となる。従って、月次費用は「spモード」と「パケホーダイ for iPhone」の合計額となるのだが、上記「一括ゼロ円」で「月々サポート」が摘要されることから、月額は3,255円となる。但し、最初の1年は「月々サポート」が525円増額されることから、2,520円の負担で良い。
1年目 | 2年目 | |
基本料金 | 780円 | 780円 |
のりかえ割 | ▲780円 | ▲780円 |
SPモード | 315円 | 315円 |
パケホーダイ for iPhone | 5,460円 | 5,460円 |
月々サポート | ▲3,255円 | ▲2,520円 |
合計(月額) | 2,520円 | 3,255円 |
キャッシュバックの拡大は必然?
年が明けてから、ドコモショップでもiPhoneのキャッシュバックが大きく増加しているようである。キャッシュバックはネット上で打ち出すことはまずないことから、具体的な事例の写真はあまり出回っていない。しかし、元のキャリアで2年縛りの契約期間中の場合、9,975円の解約手数料が発生する。また、MNPの手数料として転出するキャリアには2,100円、ドコモ(転入するキャリア)には3,150円の合計5,250円が必要となる。これだけで15,200円となることから、最低でも15,000円のキャッシュバックが無いとMNPするだけで足がでることになる。「一括ゼロ円」でMNPによる転入増を全面に打ち出したことから、否が応でもドコモはキャッシュバック路線を拡大するしかないだろう。