今年の6月、Appleとドコモの間でiPhone取扱が基本合意に達していたことを今日(11月13日)の朝日新聞が伝えている。AppleのTim Cook CEOとドコモの加藤社長が、米国で直接NDA(Non-disclosure agreement:秘密保持契約)を締結したとのことである。これはそれまでの交渉でドコモのiPhone取扱がほぼ合意に達しており、細部の詰めを行って9月の発表に臨むこととなったことを意味している。
NDA違反一歩手前・・・・セーフ判定
ドコモはNDAを守れない会社?
NDAとはNon-disclosure agreementの略で、日本語では秘密保持契約と呼ばれている。企業間の契約に関して締結されることが多く、特にAppleの場合はその内容が厳しいことで知られている。朝日の記事によると、8月末にドコモの役員が「導入態勢が整った」と発言したことが報道され、Tim Cook CEOが「NDAを守れない会社ではないか」と言う疑念を持ったとされている。結果は事なきを得たが、最悪の場合はiPhone販売契約が吹き飛んでしまうところだったらしい。
態勢が整った・・・発言は事実
「導入態勢が整った」と発言したのはドコモの副社長らしい。インタビューしたのはSankeiBizらしいが、記事のタイトルは「国産スマホに引導?iPhone態勢整えたドコモ 副社長『選別してない』」というものであった。私だけかもしれないが、これだけ見ても何のことやら分からない。SankeiBizから記事を受けたと思われるITmediaのタイトルは、「iPhone販売『態勢は整った。いつ出すかが問題』 NTTドコモ副社長」というものでより明確な表現となっている。記事は8月26日付けであり、これを呼んだ人は9月10日にAppleが発表するiPhoneの新製品からドコモが取り扱うことを明らかにしたと思うだろう。
微妙だが、NDA違反はセーフ判定
しかし、問題となった発言の前にAppleが9月10日に新製品発表をするという問いかけに副社長は、「状況は変わっていない。(10日にアイフォーン発売を発表するのは)難しい」と答えている。カッコ内の言葉は記者が書く加えたものであり、10日に発売されるiPhoneをドコモが扱うのを否定するかのような表現となっている。Appleとの間で取り交わしたNDAの中身は分からないが、Appleが発表する前にiPhoneの発売を公表してはいけないということが入っていたのは確実であろう。副社長の発言は組み合わせ方でどうにでも取れるものだが、10日発表の新製品の取り扱いについては肯定はしておらず、否定的な発言となっていることは事実である。辛うじてセーフであったのであろう。