MicrosoftのSteve Ballmer氏が5月23日、東京都内で行われた記者会見でWindows Phone 8を搭載するスマートフォンの日本投入に努力していることを発表した。発売・・・・ではなく、あくまでも発売できるように努力しているのである。MicrosoftのTopに立つ人が、来日する前に決められなかったことを自ら公表したことになる。
Windows 8に続いてWindows Phone 8も失敗?
Windows PhoneがOS別シェア3位に浮上・・・・
Windows Phone搭載スマートフォンは、2011年8月に富士通東芝(当時、現:富士通モバイルコミュニケーションズ)がKDDIから発売したIS12Tが最初で最後の製品となっており、Windows Phone 8搭載端末は未だに1台も投入されていない。海外ではNOKIAを始めとしてSamsungなどがWindows Phone 8搭載スマートフォンを発売している。また、米調査会社IDCは、2013年第1四半期(1月-3月)のOS別シェアにおいてWindows PhoneがAndroidとiOSに次いで3位に上昇したことを発表した。しかし、それはBlackBerryのシェアが落ちた結果であり、数字も3.2%にすぎない。
Windows Phone 8の急成長は未だならず
3.2%しかないのに3位ということは、AndroidとiOSに大きく引き離されているということを意味している。1位のAndroidは、1億6,210万台で75.0%のシェアを誇っている。2位のiOSは3,740万台で17.3%のシェアであり、1位と2位で92.3%を占めている。また、BlackBerryは2.9%で630万台、Windows Phoneの700万台との差は70万台しかない。Steve Ballmer氏は昨年11月にWindows Phoneデバイスが世界のスマートフォン市場で急成長すると述べていたが、その予測=期待は未だ実現していないようである。
日本向けローカライズに対応するのか?
Steve Ballmer氏はWindows Phone 8搭載スマートフォンについて「一刻も早く投入できるよう努力している」 と述べると同時に、「Windows Phone 8の日本投入時には1人1人のアイデンティティに基づき、パーソナライズされた最高の体験を提供する」と述べている。同にでも取れる発言だが、もしかすると日本向けにローカライズすると言っているのかもしれない。国内でAndroidがiOSに拮抗することができたのは、Android端末が日本向けにローカライズしてきたことが最大の理由である。また、KDDIのIS12Tが無残に失敗したのは、Microsoftが日本側の要請に殆ど応えなかったことが最大の理由であったことは間違いない。日本のスマートフォンで成功するためには、グローバリゼーション一辺倒ではなく、日本向けのローカリゼーションが求められているのである。
社名は一歩先にローカリゼーション
Microsoftは2011年2月1日、日本法人の社名をマイクロソフト株式会社から日本マイクロソフト株式会社とした。Microsoftの日本法人は米国本社の意向に沿うことが最優先され、日本独自の対応を行うことは殆ど無かった。それが崩れてきたのは、現社長の樋口泰行氏からと思われる。Windows Phone 8のリリース段階での日本投入を見送ったこともそうだが、Surface RTの国内発売するもSurface PROを見送るなど、日本独自の対応がこのところ目立っている。Steve Ballmer氏の来日の目的は何なのか知らないが、米国本社の意向を押し付けるためでないことを祈るばかりである。