IGZOをめぐるシャープとSamsungの駆け引き

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今日(5月23日)の朝日の朝刊で面白い記事を見つけた。「日本発の技術を々生かす-新型IGZO液晶、世界が注目」という記事だが、30ページ目の「科学」面に記載されていた。IGZOはシャープが開発した技術であり、シャープが特許を所有しているものとばかり思っていた。しかし、IGZOの元になる技術の特許は科学技術振興機構(JST)というところが所有しており、Samsungはシャープよりも先に特許を取得していたということだ。

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IGZOをめぐるシャープとSamsungの裏にAppleの影

IGZOの液晶への応用技術をシャープが所有

IGZOはイリジウム(In)とガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)の酸化物(O)の元素記号の頭文字を採って名付けられたもので、東工大の細野秀雄教授がこの材料で2004年に初めて薄膜トランジスタ(TFT)の試作に成功したものである。研究資金をJSTが負担したことから、その特許はJSTが所有している。シャープはIGZOの基本的な特許をベースにし、液晶への応用と量産化のための製造技術を確立したのであった。従って、この部分については半導体エネルギー研究所とともに特許を取得しており、2012年秋にはIGZOの商標権も取得している。

長年のライバルであるSamsungがシャープに出資

シャープはSamsungに第三者割当増資を引き受けてもらい、Samsungは約100億円で3%を所有する第5位の株主となった。Samsungはシャープのライバルであり、前述のように液晶やIGZOで競合している。また、Samsungの企業風土は 「傲慢」という言葉で表されており、Samsunnなどに大株主になってもらって大丈夫なのか、という心配の声も数多くきかれた。Samsungの狙いはシャープの持つIGZOの技術であり、IGZOの技術は遅かれ早かれSamsungに盗られてしまうという憶測さえ流れている。

シャープは性能を落としてiPadにIGZO搭載

私の考えは穿った見方かも知れないが、IGZOの技術がSamsungに流れることを承知で出資に応じた・・・・と思っている。何故か・・・・・AppleのiPadがその理由である。AppleのiPad向けにIGZOパネルを納入するため、SamsungにIGZOの技術を供与しようとしているのである。多分、そんな馬鹿な・・・供与しないで自分だけでIGZOを納品できるのにそれをしないのはおかしいだろ・・・・という反応が大勢だろう。しかし、シャープはIGZOの性能を落としてAppleにパネルを納品しているのである。

iPad3はIGZOを搭載ししていた

Appleは複数購買が基本中の基本

AppleのiPhoneやiPadのパネルは、2~3社の複数購買が基本となっている。iPad 3はSamsungとLGディスプレイ、それにシャープが液晶パネルを納入したといわれている。搭載した液晶パネルはアモルファス液晶とされていたが、前述の記事にあるように、シャープは性能を落としたIGZOで納品したのであった。しかし、この時のIGZOパネルの歩留まりが悪く、シャープは他の2社に遅れて納品せざるを得なかったと伝えられている。このことがAppleのシャープへの信頼感を減少させたのは間違いなく、その後のAppleからの発注量は減少を続けることとなった。

Samsung復帰の切り札がIGZO

昨年秋に発売されたiPad 4はシャープにも発注されたが、大半の出荷はLGディスプレイが行ったらしい。また、同時発売されたiPad miniは、LGディスプレイとAUOが発注先として伝えられている。ここで気になるのは、Appleの発注先からSamsungが消えつつあることである。SamsungはAppleとの間で特許に関する係争が続いており、部品の納入業者から外されるのはいわば当たり前である。しかし、SamsungがIGZOパネルを出荷できるとすると、AppleはSamsungを納入業者に戻さざるを得ないかもしれない。

Samsungのシャープ出資の影にApple

シャープのIGZOの技術は素晴らしいとしても、Appleがシャープ1社にIGZOパネルをまかせる訳がない。ましてやシャープはiPad 3やiPad 4でのAppleの要求に答えられておらず、その供給力には大きな懸念がもたれている。そこにIGZOパネルの供給企業が1社増えるとなると、AppleのIGZOパネル採用が現実味を帯びてくるのは間違いない。シャープはIGZOという独自技術を章有しているが、独自技術であることによってAppleから採用されることは無いというジレンマに陥っていた。シャープはIGZO技術の見返りにそこそこの資金を確保でき、SamsungはAppleへの納入業者に返り咲く可能性を残すことができる。シャープへのSamsungの出資の背景は、Appleの存在が色濃くあるというのが筆者の持論である。

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