孫社長の実業家としての腕が問われるスプリント再建

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ARMを3.3兆円で買収するソフトバンクの孫社長は、これまで投資家としては極めて輝かしい成績を残してきた。アリババへの出資に代表されるように、これらは孫社長の投資家としての実績である。急成長する可能性のあるベンチャー企業を早い段階で見つけ出し、投資した額のの数十倍、数百倍の収益を得るのが彼の得意技である。しかし、2012年に買収した米国のスプリントの買収は米国の携帯電話事業への進出であり、投資家ではなくて事業家としての行為であった。しかし、買収して4年が経つにもかかわらず、スプリントの業績は一向に改善している様子が見られない。

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投資家としては数々の大成功を収めてきたが、事業家としてはスプリントの再建無しには認められない

sprint

Sprint

事業家として行ったスプリント買収

孫社長は『世界最大の通信事業者になる』として米国のスプリントを買収した。当時、スプリントは米国の3番手であり、上位にいるAT&Tやベライゾンには大きく引き離されていた。スプリント買収は米国進出の第一歩に過ぎず、すぐに4番手にいたT-Mobileの買収に動いた。スプリントは買収時点から業績不振であり、ソフトバンクはスプリントを他のキャリアと合体させることで再建の道筋を描いていた。しかし、それが米政府に拒否されたことから、スプリントの単独再建という想定外の事態を抱え込む事となった。ソフトバンクは日本でiPhoneを単独で扱うという幸運に恵まれ、2006年に買収したボーダフォンを大きく成長させることに成功した。スプリントの買収によって日本から米国へと事業を拡大させようとしたのであるが、その第二歩で躓いたことになる。

社長退任とその白紙化の裏に企業買収問題あり

孫社長が自分の後継者としていたニケシュ・アローラ氏は、2014年9月にグーグルを辞めてソフトバンクのバイスチェアマンに就任した。孫社長がT-Mobile買収断念を正式発表したのは同年8月であり、その直後にニケシュ・アローラ氏を招聘したことになる。孫社長が60歳になる誕生日に社長交代を発表するつもりだったとしていることから、3年後の2017年8月にはそれが実現するはずであった。しかし、株主総会前日の6月21日午後8時、ソフトバンクは突如ニケシュ・アローラ氏の退任を発表した。これが今回のARM買収に関係があるかどうかは分からないが、孫社長がARM買収を発表したのが7月18日である。ニケシュ・アローラ氏退任とほぼ同時に具体的な交渉を始めたことは明らかであり、孫社長とニケシュ・アローラ氏との間に意見の対立があったと思われる。ともあれ、T-Mobile買収断念と同時期に社長退任を計画し、ARM買収時にそれを白紙にしているという事実に変わりは無い。

今後の焦点はスプリントを売却するかどうか!?

ARMの買収により、ソフトバンクが優良な資産を社内に取り込んだことは間違いない。スプリントと異なり、ARMの経営は安定しているので孫社長が経営に乗り出す必要はない。損社長の目論見どおりに行けばARMの収益は急拡大するハズであり、今回の買収で15兆円に達する借金も大きな負担にならなくなるかもしれない。しかし、今のうちに重荷になっているスプリントを売ってしまえ・・・という意見が出てくるのは当然のことから、スプリント売却が具体化する可能性もある。しかし、今回のARM買収がソフトバンクの事業の軸足をIoTへの転換とするならば、インターネット接続のインフラであるスプリントは必要性の高い事業である。『あと5~10年は社長を続けたい』という孫社長にとって、スプリントの再建は事業家としての腕を振るう最後の舞台となるハズである。

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