3)メジャーの本業回帰

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メジャーの主導権争い

BMGとEMI、WMGの3社で買収合戦

5大メジャーがpressplayとMusicNetを舞台に主導権争いしていた時期は、同時に合併によって自分の勢力を増大させようとした時期でもあった。2001年から2003年にかけて、買収する側と買収される側の両方に常に名前が挙がっていたのは、BMGとEMI、それにWMGの3社であった。
残りの2社のうち、UMGはシェア26%(2000年当時)のトップ企業であり、4社の何処と一緒になっても独禁法当局から認可されることはあり得なかった。また、SMEの場合は親会社である日本のソニーが手放すことは考えられず、この時期に名前が挙がることはなかった。

積極的に動いたBertelsmann

bertelsmann_logo

Bertelsmannのロゴ

最初に動いたのはBMGの親会社であるBertelsmannであった。2000年にEMIを買収しようとしたが、合意を得られず破談となった。直後に今度はAOL Time WarnerがEMI買収に乗り出し、一旦は合意に達した。しかし、EUからの認可が得られず、これも破談となった。

BertelsmannはどうしてもEMIが欲しかったことから、2001年に再度EMIと交渉、EUの認可が得られるような条件を提示してEMIと合意に達することができた。しかし、今度もEUの認可を得ることができず、失敗に終わってしまった。すると今度は方向を転換し、EMIを取り合ったWMGの買収に乗り出した。しかし、WMGとは合意に達することはできなかった。

Bertelsmannはドイツの巨大メディア企業

Bertelsmannは、ドイツの巨大メディア企業である。日本国内ではBMG系列のレコード会社しかないことから、国内ではなじみの薄い企業であった。また、非上場のプライベートカンパニーであり、企業としては不透明な部分が多い企業でもあった。
1998年にBertelsmannのCEOとなったThomas Middelfoffは、インターネットでのビジネスに積極的な投資を行なっていた。特に書籍の分野ではBOL.com事業を開始することや、米国のBarnsandNoble.comへの出資を行なっていた。しかし、書籍の分野では事業を軌道に乗せることができず、2001年以降は撤退の動きを強めていた。

音楽事業強化に乗り出すが、それも失敗

書籍のインターネット販売をあきらめたBertelsmannは、音楽の分野でのインターネット事業強化に乗り出した。2002年5月にはメジャーレーベルと係争中だったNapsterの買収で合意を取り付け、自らの音楽配信のプラットフォームとすることを模索した。しかし、裁判所の認可を得ることができず、9月には挫折することとなった。Napsterは、翌月にRoxioが買収することで騒動に終止符を打っている。

pressplay・MusicNetと同時進行した動き 
年月 pressplay/MusicNet それ以外の動き
’01.02 pressplay発表  
04 MusicNet発表 UMGがeMusic買収
05   VivendiがMP3.com買収
 10 EMIがpressplayに楽曲提供  
12 pressplay/MusicNetサービス開始 Listen.comがRhapsody開始
 ’02/05   BertelsmannがNapster買収で合意
 06 pressplayが値下げと条件緩和  
08 pressplayが条件緩和  
 09   BertelsmannのNapster買収を却下
 10 BMGがpressPlayに楽曲提供 RoxioがNapster買収
11 UMGがpressplayに楽曲提供
UMG/SMEがMusicNet②楽曲提供
MusicNetが条件緩和
UMGが小売店サイトから音楽配信
’03.03 SMEがMusicNetに出資  
04 RealNetworksがListen.com買収 AppleがiTunes Music Store開設
05 RealNetWorksがRealOneのサービス停止、
RealOne Rhapsody開始
 

メジャー主導のサービスからの撤退

協業の崩壊

SMEと共にpressplayを主導したUMGと親会社のVivendi Universalは、設立間もない2001年4月から独自の行動にでている。UMGがDRMフリーの音楽配信を行っていたeMusicを買収したほか、5月にはVivendi Universalがpressplayの配信プラットフォームで配信することになっていたMP3.comを買収している。
この行動は、配信プロセスの最下流の配信サイトを自前で持ちたいというVivendi Universalの意向がうかがえるが、2002年11月には主要小売店のサイトからの音楽配信にも踏み切っており、UMGの音楽配信に対する姿勢に揺らぎが垣間見える。
Vivendi Universalの動きに不信を抱いたSMEは、2003年3月に競合してきたMusicNetに出資して安全策を講じた。pressplayはAppleがiTunes Music Storeを開設した直後の2003年5月、pressplayの配信プラットフォームで配信を行っていたRoxioに売却された。これにより、pressplayはメジャーの手から離れることとなった。

pressplay/MusicNet共にユーザー獲得に失敗

メジャーレーベル主導で展開した音楽配信サービスは、楽曲の自由な利用を大きく阻害するものであった。特に当時マニアを中心に広がりつつあったPDへの転送に大きな制限があったことは、致命的であった。音楽配信事業を大きなビジネスを期待していたメジャーレベルは、それがまったく期待はずれであることを思い知らされたのである。したがって、今後は音楽のインターネット事業を強化するのではなく、本業に専念することが最も重要であることに気付かされたのである。但し、その行き先は音楽制作を強化する方向ではなく、同業他社を買収する方向に向かうことになったのであった。ともあれ、メジャー各社が音楽配信をビジネス化することを諦めたその時、AppleがiTunes Music Storeで音楽配信の世界に入ってきたのであった。

⇒4)4大メジャーレーベル

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