キャリアがサービスで収益を得る
最初に取り組んだのはNTTドコモ
NTTドコモは1999年2月、iモードのサービスを開始した。KDDIのEZwebは1999年4月、ソフトバンクの前身であるJ-PHONEのJ-スカイ(現在はYahoo!ケータイ)は1999年12月スタートであったことから、3キャリアの中では導入が最も早かった。これらはインターネット接続サービスとして紹介されているが、実際は日本のケータイ電話がガラケー(ガラパゴスケータイの略)と呼ばれるようになった元凶(?)となったものである。
iモードはNTTドコモの専用ネットワーク
iモードによってインターネットに接続でき、パソコンとメールをやり取りできることから、キャリアがISPとなったことは事実である。しかし、iモードはNTTドコモの専用ネットワーク(iモード網)であり、NTTドコモはそのネットワーク上に様々なコンテンツを提供するサービスを集めている。
課金代行手数料が収入源
iモード導入と同時にNTTドコモは、iモード網上にネットバンキング、待ち受け壁紙、着メロ配信などの有料サービスを多数立ち上げた。iモード網上のサイトは公式サイトと呼ばれ、コンテンツを用意したプロバイダーが開設する。コンテンツの利用料はNTTドコモが通話料と共に回収、課金代行手数料としてNTTドコモが9%を徴収している。
iモードの売上げ
iモード開始して12年となる2010年3月、加入者5,600万人の9割がiモードを契約、iモード情報収入は年間約3,000億円とした場合、NTTドコモの収入は
- iモード契約料 5,600万×90%×315円×12カ月=約1,900億円
- iモード情報料 3,000億円×9%=270億円
- 合計して約2,170億円
コンテンツを配信するのは公式サイトを設置したプロバイダーであり、NTTドコモが配信するわけではない。しかし、コンテンツを配信するプラットフォームを構築したのはNTTドコモであり、課金代行手数料としてそのプラットフォームの利用料を徴収していることになる。欧米のキャリアと異なり、NTTドコモを始めとする日本のキャリアはコンテンツ配信やサービスの提供から収入を得るビジネスモデルを展開してきた。これが日本のガラケー化の始まりであったことは間違いない。
KDDIのEZweb
KDDIの前身である旧DDIセルラーグループは、NTTドコモのiモードに続いて1999年4月に開始した。旧IDOもほぼ同じ時期にEZaccessの名称でサービスを開始したが、後にEZwebに統一された。仕組はiモードと同じく、EZweb網(専用ネットワーク)上に開設された公式サイトでコンテンツの配信を行なう。コンテンツ利用料は通話料と共にKDDIが回収、課金代行手数料としてKDDIが9%を徴収する。それに加えてダウンロードに必要なパケット通信料がKDDIの収入にプラスされる。
ソフトバンクのYahoo!ケータイ
NTTドコモのiモード、KDDIのEZwebに対応するソフトバンクのサービスは、Yahoo!ケータイと名付けられている。J-PHONE時代はJ-スカイ、ボーダフォン時代はVodafone live!(ボーダフォンライブ)と呼ばれていた。最初のJ-スカイのスタートは1999年12月であり、同年2月のiモード、4月のEZwebに遅れて3キャリアでは最後のスタートであった。しかし、2000年10月にはJ-スカイの仕様を改良、対応画像形式を増加させて添付ファイルの送受信を可能とした。同時発売された携帯電話端末(J-SH04)にはデジタルカメラ機能を搭載しており、写メールという覚えやすいネーミング効果と相まって、カメラ付携帯電話端末のブームを巻き起こした。
2003年10月からはVodafone live!となったが、Vodafone live!は全世界的に展開されたサービスブランドであり、日本固有のニーズに対応するサービスを打ち出すことが難しく、iモードやEZwebのサービスに引き離される結果となった。そして2006年10月のソフトバンク買収によって、現在はYahoo!ケータイに名称変更されている。ソフトバンクはNTTドコモやKDDIと同様、コンテンツ配信に関わる費用を課金手数料として徴収している。その率については公表していないが、12%程度と言われている。