3)KIOSKとPHS配信

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高コストだったKIOSK音楽配信

音楽配信はほぼ同時期にスタートした

2000年代始めに次々にスタートしたインターネット音楽配信だが、同時に試みられていた音楽配信はKIOSK音楽配信とPHS音楽配信であった。KIOSK音楽配信は、1999年から2000年にかけて以下のようなサービスが提供されていた。

■KIOSK音楽配信

 提供企業 サービス名 使用回線 設置場所 開始 終了
 ブイシンク MusicPOD NTT光ファイバー レコード店、ゲームセンター等 1999/05 2002/12
デジキューブ DCT-R 通信衛星 ファミリーマート等のコンビニ 1999/11 2006/08
 メディアラグ セブンナビ セブンイレブン 2000/11 2002/10
 MusicDeli レコード店、ゲームセンター等 2000/08 2006/08

レコード各社が行なった音楽配信は個人ユーザーのパソコン向けのサービスであったが、KIOSK音楽配信はレコード店やゲームセンター、コンビニなどの実店舗に置かれた専用端末向けに音楽を配信するサービスであった。専用端末の設置台数を増やすことでビジネスを行なおうとする事業モデルである。

KIOSK音楽配信の場合、音源を置くサーバーとKIOSKの間のセキュリティが確保されていればデジタル音楽が漏洩することはない。ブイシンクはNTTが用意した専用の光回線を使用、デジキューブとメディアラグは通信衛星を使用したことから、セキュリティ上の問題は解消されていた。したがって、大手レコード会社は積極的に楽曲の提供に応じたことから、ダウンロード数は万を超えるものもでてきた。

配信のコストは全て配信事業者が負担

しかし、2006年8月にはすべてのサービスが終了している。ダウンロード数が多かったにもかかわらず事業を継続できなかったのは、配信インフラにコストがかかりすぎていたことが最大の理由である。KIOSK端末の価格は100から200万円であり、通信回線のコストも毎月千万円単位で発生する。これらはすべて配信事業者の負担となる。メディアラグの場合は、KIOSK端末を店舗が負担していたことから事業を他よりは長く継続できたが、設置台数を増やせば増やすほどコストが増加するという事業の体質に違いはなかった。結局、いずれのサービスもコストを吸収できる配信実績が伴わず、2006年は全てが店頭から撤去されてしまった。

PHS音楽配信

レコード各社がパソコン向け音楽配信に参入しKIOSK音楽配信が注目を浴びていた2000年、同時進行で進められていたのがPHS端末向けの音楽配信であった。NTTドコモの3Gサービス「FOMA」の商用サービス開始は2001年10月であり、当時は2GのPDC方式が全盛の時代であった。しかし、PDC方式の通信速度は9.6Kbpsでしかなく、とても音楽配信に使用できるスピードではなかった。そこでPHSの64Kbpsを利用して音楽配信を行おうとしたものである。

収録メディアはメモリーカード

DDIポケット(現ウィルコム)が「ケータイdeミュージック」を2000年11月に開始したのを始め、NTTドコモも「M-Stage music」で2001年1月に参入した。いずれも楽曲データをメモリーカードにダウンロードする方法を採用した。メモリーカードは1999年から2000年にかけてセキュアなタイプが出揃っており、その普及のためのキラーコンテンツとして音楽が選ばれたのであった。したがって、DDIポケットやNTTドコモを支えたのは、いずれも自社仕様のメモリーカードを推進する大手企業であった。

picwalk

PHS音楽配信端末PicWalk

■PHS音楽配信

提供企業 サービス名 配信方式 圧縮/メモリーカード バックアップ 開始 終了
DDIポケット Sound Market ケータイdeミュージック MP3/セキュアMMC 日立、三洋電機、富士通 ’00/11 ’04/09
SDAIR AAC/SDカード  松下電器 ’01/04
 NTTドコモ M-Stage music EMDLB ’01/01 ’03/09
EMMS/OpenMG Light ATRAC3/MGメモリースティック ソニー ’01/04

大手企業が音楽配信ビジネスに大挙して参入

NTTドコモのM-Stage musicの場合、PHS専用端末からドコモのインターネット接続サービスmopera(モペラ)に接続し、楽曲の試聴、端末への有料ダウンロードを行う。楽曲の購入代金以外に専用PHS端末のPHS基本使用料のほか、M-Stage music付加機能使用料が月額200円かかった。また、M-Stage musicを利用する際の通信料が通常の通話と同様に1分あたり15円かかるというものであった。
システムの運用は、NTTドコモや松下通信工業(現パナソニックモバイルコミュニケーションズ)、ソニー、伊藤忠の共同出資で設立されたトライノーツが行った。ダウンロード数が伸びればトライノーツの取り分が多くなり、それを目当てに大企業が参入してきたという構図になる。また、NTTドコモはダウンロード数の増加に応じて付加機能使用料や通話料が入ることになる。
DDIポケットのSound Marketも、当初はセキュアMMC向けのケータイdeミュージックだけであったが、2001年4月にはSDカード向けのSDAIR方式が追加された。バックアップする企業は、従来の日立や三洋電機、富士通に松下電器が加わることになった。

開始して半年後には話題にも上らず

M-Stage musicは、当初はエイベックスやポニーキャニオンなどの15社の楽曲でスタートした。MGメモリースティックに対応した際にはSMEの他、WMJや東芝EMIも参加し、提供レコード会社数は23社に広がった。宇多田ヒカルを起用して新聞やTVで大々的に宣伝を行ったことなどから、開始早々はかなりの注目を浴びた。しかし、ダウンロード数は伸びず、専用端末の販売台数も伸び悩んだ。レコード会社からの楽曲提供も尻すぼみとなり、開始して半年後には話題にすらならない状態となってしまった。
NTTドコモのM-Stage musicは2003年9月、DDIポケットのSound Marketは2004年9月にサービスを終了している。後にKDDIが着うたや着うたフルで躍進するが、PHS音楽配信の失敗がNTTドコモのトラウマとなり、着うたや着うたフルへの取組に大きく遅れをとることとなる。

⇒(2)着メロと着うた 1)KDDIが着うたでリード 

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