3)iTMSのサービス開始

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iTunes Music Storeの日本上陸

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日本版iTMS

日本のレコード会社との争点

Appleは米国でのiTunes Music Store(iTMS)が好調に推移する中、米国に次いで世界第2の音楽市場である日本進出に2003年の段階から乗り出した。AppleのiTMS事業はApple本社の直轄事業であり、開設の担当者も米国本社に在籍している。本社のスタッフが2003年から2004年にかけて来日し、日本の主要なレコード会社に働きかけを行った。しかし、米国と同様のビジネスを日本で展開するのは難しいと判断、欧州での立ち上げを先行させることとした。結局、日本版iTMSの開設は、米国のスタートより2年以上遅れた2005年8月であった。Appleと日本のレコード会社の争点は、Appleが主張した①一律価格と②配信ルールであった。

①一律価格

日本の大手レコード会社が難色を示した最大の問題は、Appleが主張する一律価格という条件であった。この問題は米国のメジャーも当初から難色を示していたが、iTMS開始時にメジャー側がやむなく受け入れたという経緯があった。したがって、この後メジャーとAppleとの契約更改のたびに問題となることとなる。
メジャー系の国内のレコード会社は、米国の親会社から一律価格制だけは防止すべきとの意向が伝えられており、メジャー系のレコード会社がAppleに強く抵抗したと伝えられている。最終的にAppleは一律価格を放棄せざるを得ず、日本版iTMSでは1曲150円と200円の2種類の価格体系を採用した。米国でも長い間争点となっていたが、メジャー側の主張をAppleが受け入れたのは2009年4月であった。

 iTMS日米比較:価格

日本:新譜は200円、旧譜は150円の2通り

米国:1曲99セントの一律価格 

②配信ルール

Appleは一律価格で譲歩したが、それでも多くのレコード会社から楽曲の提供を受けることができなかった。最大のネックとなったのが、CD焼付回数などの配信ルールであった。日本版iTMSが採用した配信ルールとそれまでの国内の音楽配信が採用した配信ルールの違いは、下記の通り。

日本版iTMSとそれまでの配信サービスとの比較:配信ルール(2005年8月時点)

日本版iTMS:利用PC台数=5台 CD焼付回数=無制限 PD転送回数=無制限

moraなど  :利用PC台数=1台 CD焼付回数=不可    PD転送回数=3回まで

日本のレコード会社は音楽のデジタルコピーに防止積極的に取り組んでいた。当時は既に事実上撤退していたが、CCCD(Copy Control CD)の発売にも積極的であった。音楽配信においても厳しい配信ルールを適用しており、特にCD焼付回数やPD転送回数ではAppleのルールとは大きな開きががあった。

Appleは一律価格の放棄には応じたが、ビジネスルールの変更には最後まで応じなかった。このことから、欧米ではほぼ全てのレコード会社の楽曲を集めてスタートしたiTMSだが、日本ではメジャー系を中心にiTMSに楽曲提供しなかったレコード会社も多かった。

楽曲提供レコード会社

Appleは、一律価格と制限がほとんどない配信ルールを売り物にしていた。配信ルールでは主張を曲げなかったことから、大手レコード会社の多くから楽曲を得られないという事態となったが。しかし、日本でのスタートをこれ以上遅らすわけには行かないとの判断から、集められた楽曲だけで見切り発車した。

日本版iTMSへの楽曲提供状況(メジャー系5社)

東芝EMI、ユニバーサルミュージックの2社が最初から楽曲提供。SMEとBMG、WMJは提供に応じず。但し、BMGは2006年10月、WMJは2007年6月から楽曲提供に応じる。SMEは2012年2月に洋楽を提供したが、邦楽の大半は未提供を続けている。 

配信楽曲数は100万曲

日本版iTMSは5大メジャー系の3社が楽曲提供に応じなかったにもかかわらず、開始時に100万曲の楽曲を集めた。5大メジャーの場合、日本国内の配信権はそれぞれの日本の子会社が所有している。したがって、それらの子会社の許諾無しにはメジャーの楽曲は配信できないが、世界各地には数多くのレコード会社が存在している。Appleはそれらのレーベルと契約することで数十万曲を確保、合計で100万曲としたものである。Appleはメジャー系の3社の楽曲不在を、配信楽曲数の多さを前面に出すことで補おうとした。

ダウンロード実績

Appleは日本版iTMSがスタートして4日後の8月8日、日本版iTMSでのダウンロード数が100万曲を突破したと発表した。当時、moraの月間ダウンロード数が40万弱であったことから、日本版iTMSはmoraの1ヶ月分ダウンロード数の2.5倍となる実績を4日間で達成したことになる。
Appleは日本版iTMSの開始を発表した際、日本におけるiPodのシェアが36%であることを紹介した。その数字を日本の携帯端末の販売台数に当てはめると、2005年前半のiPod販売数は約100万台、2004年までに販売されたものを含めると、2005年8月時点で約150万人のiPodユーザーが存在することになる。その人たちはこれまで音楽配信サービスは利用できなかった訳で、日本版iTMS開設と同時に殺到したものと思われる。
その後の日本でのダウンロード実績については、Appleからは何の発表も行われていない。

⇒(2)着うたフルが主流に 1)着うたフルの大躍進

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