1)着うたフルの大躍進

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着うたから着うたフルへ

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モバイルコンテンツ市場推移

楽曲に一部を使用する着うた

PC音楽配信のダウンロード数が伸びない中、飛躍的にダウンロード数を伸ばしていたのが「着うた」のサービスであった。「着うた」はKDDIが2002年12月に開始した楽曲の一部を「着メロ」として利用できるサービスで、携帯電話に直接ダウンロードするサービスであった。2003年4月から2004年3月までの1年間の「着うた」のダウンロード数は7,000万曲となり、金額も56億円にまで伸びていた。

着うたで音楽配信がビジネスに

この当時、レコード各社はLabel GateやNTTコミュニケーションズのArcstar MUSICを利用して自社音楽配信を行なっていた。しかし、そこでのダウンロード数は微々たる物であり、いずれもビジネスとして成り立つものではなかった。しかし、年間56億円の売上げとなると、大手では10億円程度、中堅でも3億円程度の売上げとなる。これまで音楽配信では人件費は別としても経費も賄える状況ではなかったにもかかわらず、「着うた」だけで人件費まで吸収できる状況が突然生まれたことになる。

1曲フルの着うたフル

着うたのサービスが大成功を収める中、次の取組は1曲フルの音楽配信であることは当然至極のことであった。最大の課題は、携帯電話回線のスピードであった。当時、携帯電話キャリアは3Gに積極的に取り組んでおり、その先頭を切っていたのがKDDIであった。
KDDIは2002年4月にCDMA 1Xという3Gサービスを開始したが、2003年11月にはその上位バージョンとなるCDMA 1X WINを開始した。NTTドコモは3GのFOMAを2001年10月に開始しており、3Gへの取組はKDDIより早かった。しかし、FOMAの上位バージョンとなるHSDPA(FOMAハイスピード)への取組は、KDDIより2年半遅れの2006年8月であった。したがって、着うたに続いて着うたフルに取り組んだのは、3Gサービスで先行していたKDDIであった。

1.5MBに圧縮、ダウンロードは5秒

KDDIが1曲フルの音楽配信着うたフルを開始したのは、着うた開始の丁度2年後となる2004年11月19日であった。圧縮方式には高圧縮が可能なHE-AACを採用、4分の楽曲が1.5MB程度の容量とした。しかし、従来の方式であるCDMA 1Xでは、ダウンロードするのに1分30秒程度必要であった。したがって、5秒程度で済むCDMA 1X WINのサービス開始を待って着うたフルをスタートさせた。

着うたに続き、着うたフルも大ヒット

KDDIの着うたフルのダウンロード数が400万曲に達したのは、開始4カ月後の2005年3月17日であった。着うたも開始4カ月で400万曲に達しており、着うたフルも着うたと同様の大ヒットとなった。KDDIは2008年5月3日に着うたフルの累計ダウンロード数が2億曲に達したことを発表しており、日本の音楽配信は着うたフルがそのほとんどを占めるという時代が続いた。

■着うたフルのダウンロード実績

達成DL数 達成日 日数 期間DL数 1日平均 1カ月のDL数
サービス開始 2004.11.19 - - - -
100万曲 2005.01.05 47 100万曲 21,277 約64万曲
200万曲 2005.02.05 31 32,258 約97万曲
300万曲 2005.03.01 24 41,667 約125万曲
400万曲 2005.03.17 16 62,500 約188万曲
500万曲 2005.04.03 17 58,824 約176万曲
1,000万曲 2005.06.15 73 500万曲 68,493 約205万曲
2,000万曲 2005.09.28 105 1,000万曲 95,238 約286万曲
3,000万曲 2005.12.28 91 109,890 約330万曲
5,000万曲 2006.05.20 143 2,000万曲 139,860 約420万曲
1億曲 2007.02.15 271 5,000万曲 184,502 約554万曲
2億曲 2008.05.03 443 1億曲 225,734 約677万曲

KDDI発表数字を元に作成

全てのインターネット音楽配信の2倍

日本レコード協会は、2005年から有料音楽配信実績を発表している。それによると、2005年1月から3月までの3カ月間のインターネット音楽配信のダウンロード数は、約110万曲であった。同期間のKDDIの着うたフルのダウンロード数は、約200万曲である。インターネット音楽配信は2004年に11サービススタートしたが、それらすべてのダウンロード数の2倍の実績をKDDIのサービスのみで達成したことになる。このことは、着うたフルがAppleのiTunes Music Storeに匹敵するようなサービスであったことを示すと同時に、インターネット音楽配信の将来性に大きな不安があることを示していた。

ドコモの参入は2006年8月

ボーダフォンは、KDDIが着うたフルを開始した翌年の2005年8月に参入した。しかし、NTTドコモの参入は2006年8月であり、KDDIより1年半以上遅れた。この背景には、NTTドコモの回線速度がKDDIよりかなり見劣りがしていたという問題があった。

■3キャリアの回線速度比較

キャリア 回線方式 回線速度〔下り) ダウンロード時間(1.5MB)
KDDI CDMA 1X WIN 2.4Mbps 約5秒
NTTドコモ /ボーダフォン W-CDMA 384Kbps 約30秒
HSDPA 3.6Mbps 約3秒

NTTドコモとボーダフォンは3Gや3.5Gでは同じ方式を採用しており、当時は共に3GのW-CDMA方式(NTTドコモのサービス名はFOMA)が主流であった。回線速度は384Kbpsしかなく、KDDIの2.4Mbpsの6分の1でしかなかった。したがってダウンロードに約30秒かかり、ブロードバンド化が進んだ当時では実用に耐えられる時間ではなかった。そのため、NTTドコモは早期参入をあきらめ、3.5GのHSDPAのサービスインまで見送ることとした。ボーダフォンは、2005年8月に見切り発車して参入したことになる。ボーダフォンのHSDPAサービス開始は、ソフトバンク買収後の2006年末であった。

⇒2)新サービスも低迷

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