原盤権は著作権法に出てこないレコード業界用語

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

音楽配信を話題にする場合、良く原盤権という用語が出てくる。しかし、著作権法には原盤権のいう用語は記載されておらず、レコード業界内で使われている業界用語である。著作権法上ではレコード製作者の権利として(1)許諾権と(2)二次使用料請求権・報酬請求権が規定されており、音楽配信については(1)許諾権の中の「複製権」と「送信可能化権」が関係してくる。

広告
広告336

iTunes Match決着の背景にある送信可能化権

cutting-machine

Cutting Machine

レコード製作者の権利は著作隣接権

著作権法では作詞作曲家を対象とした著作権と、アーティスト(実演家)やレコード会社に関する著作隣接権に分けて権利が定められている。また、著作隣接権については、「実演家」と「レコード製作者」、「放送事業者」、有線放送事業者」の4事業者別に分けて規定されている。その中でレコード事業者については①複製権と②送信可能化権、③譲渡権、④貸与権の4つの許諾権と、下の表の2つの二次使用料請求権・報酬請求権が規定されている。

著作隣接権
レコード製作者の権利 許諾権

①複製権

②送信可能化権

③譲渡権

④貸与権

二次使用料・報酬請求権

放送等に係る二次使用料請求権

貸与に係る報酬請求権

原盤権=著作権法上のレコード製作者の権利

業界内で使われている原盤権は、著作権法上のレコード製作者の権利とほぼ同じと考えて良い。但し、原盤製作においてはアーティスト(実演家)以外にプロデューサーやプロモーター契約が入ることもあり、原盤契約書の中にはそれらに対する印税についての記載も含まれている。しかし、それらはレコード製作者内の役割分担による報酬の取り決めであることから、一般的には「原盤権=著作権法上のレコード製作者の権利」として良いだろう。

権利侵害=使用料を払って許諾を得る

CD収録曲を配信する場合、音源をサーバーにアップロードしなければならない。この行為はレコード製作者の複製権と送信可能化権を侵害することになり、レコード製作者からの許諾が必要となる。逆に言うと、レコード製作者からの許諾があれば音源をアップロードすることは可能であり、アップロードが即違法行為というわけではない。AppleがiTunes Matchのサービスを日本でスタートするのが遅れたが、その時に「著作権法に違反するので日本ではサービスは実現しない」という発言が結構みられた。しかし、問題はレコード会社が「いくらなら許諾するのか」という問題であり、Appleとの合意に時間がかかったのだけの問題である。

著作隣接権者に認められた送信可能化権

ところで配信に関する許諾権として複製権に加えて送信可能化権というのが1997年に加えられたが、これは結構強い権利となっている。送信可能な状態に置くこととはサーバーにアップロードすることを指しており、実際に送信されたかどうかは問われていない。また、公衆回線に接続されているサーバーはすべて対象となり、会員のみに限定した配信サービスであっても許諾の対象となる。送信可能化権はレコードの場合は著作隣接権者のみに認められているもので、レコード製作者やアーティスト(実演家)の立場を強く保護している。先に述べたAppleのiTunes Matchだが、日本は米国の1.5倍の料金で決着した。この背景には、日本における送信可能化権の存在が大きかったのではないかと予想される。

広告
広告336
広告336

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする