米SonyがCDDBのGracenoteを売却

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Sonyは昨年12月、音楽のメタデータのデータベースを保有するGracenoteをTribune Companyに売却することを発表した。Gracenoteは、Sonyの子会社である米Sony(Sony Corporation of America)が2008年から子会社化していた。この時の買収価格は2億6千万ドルであったが、Tribuneへの譲渡価格は1億7千万ドル。

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音楽配信ビジネスを象徴するCDDB

gracenote

Gracenote

日本法人設立前から国内事業を展開

Gracenoteは、CDをパソコンのドライブに入れるとディスプレイに曲名やアーティスト名などを表示してくれるサービスを1990年代末から提供している米国の企業。日本法人であるグレースノーツ株式会社は、2003年5月に設立された。但し、日本への進出はそれより早く、2001年4月からレインボー・パートナーズという日本の会社を総代理店としてサービスを提供していた。レインボー・パートナーズはHP作成サービスを提供していたレインボー・ジャパンを親会社としていたが、そこと当時私が在籍していた会社とは仕事上の付き合いがあった。レインボー・ジャパンの社長をしていたKM氏が、CDDBに盛んに興味を示していた姿が思い出される。KM氏が社長を兼務していたレインボー・パートナーズがGracenoteと提携したことは知っていたが、当時は仕事上の付き合いは既に無くなっていた。 

昔付き合いのあった人を思い出した

Gracenote売却の記事でKM氏のことを思い出し、今は何をやっているのか調べてみた。しかし、レインボー・ジャパンの社長は別の人に代わっており、レインボー・パートナーズも2009年に売却されてレインボー・ジャパンとは関係がなくなっているようである。GoogleでKM氏の名前で検索すると、幾つか記事がヒットする。しかし、そのページは既に削除されており、実際にそのページにたどり着くことはできない。その過程でわかったことは、KM氏はGracenoteの代理店でなくなってからも同様のビジネスを行っていたようである。Gracenoteと同様のビジネスを行っているAMGと提携し、日本語のメタデータを提供する事業を行っていた。

GracenoteからAMGに乗り換え

AMGはAll Media Guideの頭文字をとったもので、MicrosoftのWMP(Windows Media Plyer)はここから楽曲情報を得ているとのこと。従来は英語の情報しかなかったが、上記のレインボー・パートナーズが日本語のデータを担当していたらしい。Gracenoteの日本法人設立が2003年5月であるが、レインボー・パートナーズがAMGのアジア地域総代理店となったのは2003年12月。、レインボー・パートナーズはGracenoteに日本語のメタデータを提供していたが、まったく同じことをAMGに対して行おうとしていた。しかし、実際にデータを提供していたのは、CDジャーナルという紙のCDカタログを発行していた出版社のようである。CDジャーナルとは2002年前後に付き合いがあったが、懐かしい名前が次々に出てくるものである。

WMPが利用するDBが不評だった

携帯デジタルプレーヤー(正確には音楽再生ソフト)は、楽曲情報をGracenoteやAMGから得ている。AppleのiTunesやSonyのSonicStageはGracenoteを利用しており、MicrosoftのWMPはAMGを利用している。しかし、現在はどうか分からないが、AMGのデータはかなり評判が悪かったようである。ネット上でWMPの情報の精度の悪さを嘆く声が溢れていた。米SonyがGracenote買収を発表したのが2008年4月であったが、この直前の3月にATRAC方式の音楽配信サービスCONNECTを終了させている。前年の7月には欧米発売のWalkmanからATRAC形式対応を止めており、音楽配信サービスはMicrosoftのWM DRM対応に変換していた。

米SonyがGracenoteを買収した理由

米SonyがGracenoteを買収した2008年当時、私はその理由が良く分からなかった。しかし、音楽メタ情報のことを詳しく調べてみると、その理由は米SonyがATRAC方式を捨ててWM DRMに転換したことが裏にあるようである。具体的には技術的な問題なのか政治的な問題なのかは不明だが、GracenoteのDBはSonyの競合他社の多くが利用している。最大の顧客はAppleであることから、Gracenoteは「Sony傘下となっても独立した経営を行う」ことを盛んに強調していた。仮に政治的な問題だとしても、顧客には何の影響も及ぼさないことを明らかにしたかったのであろう。

米SonyはGracenote売却で利益計上

技術的なことには詳しくないので予測が混じるが、米SonyはGracenoteに対応したSonicStageにAMG対応のWMPを組み込もうとしたことになる(この表現が正しいかどうかも分からないが・・・)。しかし、現在はDRMフリーが音楽配信サービスの標準となっており、圧縮方式はMP3に統一されている。従って、楽曲DBが混在することによって起こる問題は、当時よりは大きく減少したと思われる。米SonyがGracenoteを傘下におくメリットは、技術的にせよ政治的にせよ、現在はまったく無くなっていると言えるだろう。しかし、紙ジャケットがないデジタル音楽の分野においては、メタデータは視覚で捕らえられる音楽そのものであった。そういう意味では、音楽配信を象徴していたと言うことができる。

ともあれ、購入時よりは安い売却代金となったが、プレスリリースによるとこの売却によって6千万ドルの営業利益を計上するとしている。企業経理上は利益が出ることになり、米Sonyにとっては喜ばしい結果となったことだろう。

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