ソフトバンクが仏VivendiにUMGの買収提案

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

英Financial Timesの報道によると、米Sprint買収騒ぎの渦中にあった3カ月前、米Universal Music Group(UMG)を85億ドルで買収するという提案をUMGの親会社である仏Vivendiに行っていたとのことである。この提案は仏Vivendiに拒否されたとしているが、ソフトバンク及びVivendiからのコメントは得られなかったとのことだ。しかし、今頃なんでメジャーレーベルが欲しくなったんだろう。ソフトバンクにとって何のメリットもないだろうに。

広告
広告336

何故ソフトバンクはメジャーレーベルが欲しいのか

UMG

UMGのロゴマーク

3大メジャーTopのUMG

UMGの母体は、MCAを親会社とするMCA Records。MCAはMusic Corporation of Americaの頭文字を採ったものであり、1973年に英Decca Recordsの米国法人を買収してMCA Recordsに改名した。1990年代には6社あったメジャーの一角を占めるようになった。1996年にはMCA傘下のUniversal Picturesに合わせてUniversal Musicとし、1998年にはPolyGramと合併してUniversal Music Grop(UMG)となって一躍5大メジャーのトップに躍り出た。5大メジャーのうち、EMIを除く残りの3社はSony Music Entertainment(SME)とWaner Music Group(WMG)、それにBertelsmann Music Group(BMG)であるが、いずれも第2次世界大戦以前からの老舗のレコード会社が母体となっている。SMEはCBS Records、Warner Music GroupがWarner Bros. RecordsとElektra Records、それにAtlantic Recording Corporationの3レーベル、BMGはRCA Recordsである。それに対してUMGは英Deccaの米国法人であり、着々と他のレーベルを傘下に収めることで頭角を現してきたレーベルである。英EMIも米Columbia Recordsと米Gramophoneの英国法人を母体としており、他のメジャーに比べるとルーツとしては弱さを抱えていたのはUMGと同じであった。しかし、他のレーベルを吸収合併するという積極性に欠けたところがあり、その結果として音楽部門は現在はUMGに吸収されてしまった。

米国の音楽市場は大きく減退

1998年にMCA RecordsとPolyGramの合併によってUMGができたことから、2004年までの6年間は5大メジャーと呼ばれる時代が続いた。2004年にはSMEとBMGが経営統合して4大メジャーとなり、2012年にはEMIの資産がSMEとUMGに分割買収されて3大メジャーの時代に入っている。この約15年の間にメジャーの数は6から3に半減した訳だが、そのことは世界の音楽市場が大きく落ち込んでいることを表している。特に米国の落ち込みは惨憺たるものとなっている。2012年は日本が米国を抜いて1位となったことが話題となったが、最盛期の米国市場は日本の3倍の規模であった。それからすると、市場規模としては大きく魅力に欠ける業界となってしまった。

レコード会社を傘下に置くことのメリット、デメリット

音楽を聴くデバイスはこの数年で大きく変化しており、スマートフォンやタブレット端末などのクラウド端末が主流となっている。従って、携帯電話回線やWi-Fi回線と音楽との親和性が急激に向上しているのは事実だが、そのサービスを提供する側がコンテンツを保有するというビジネスモデルは、21世紀に入って成功例は出現していない。それ以前の成功例は、SonyのCDに代表される成功例がある。2000年以降のデジタル音楽の時代は、AppleのiTunes Music StoreとiPodが大きな成功を収めたが、Appleはメジャーレーベルには手を出さなかった。iTunes Music Storeが成功したのは、メジャーレーベルとは資本的に何の関係もないAppleが手がけた事業であったということが大きな理由の一つである。もし、Sonyが2003年の時点でWalkman向けの音楽配信サービスをスタートさせたとすると、残りの4大メジャーの楽曲の提供がされたかどうかは分からない。Sonyは2001年の段階からWalkman向けにPressplayで配信を行っていたが、PressPlayはWalkmanだけに向けたサービスではなかった。

日本ではデメリットの方が大きかった

日本ではSony主導で音楽配信が展開されてきた。2001年にレコード各社が開始した音楽配信は、Sonyが提供するATRAC方式・・・つまり、Walkman向けの音楽配信であった。従って、Sonyが提供するLabel Gateのプラットフォームを採用しないレコード会社も少なからず存在した。また、レーベルゲートがWM DRMに対応した音楽配信サービスに参入したとき、そこに楽曲提供するレコード会社は「mora win」という名前ほどは網羅していなかった。WM DRM方式で配信しているサービスは他にも数多くあり、「Sonyを儲けさせるために何故楽曲を提供しなければならないのか」と考えるレコード会社があったことは事実である。少なくとも日本のSonyを見る限り、サービス提供者がコンテンツを所有することで大きなメリットとなることはなく、逆にデメリットの方が大きいということができる。

実利よりも虚名が得られる音楽業界

ソフトバンクはかつてビクターレコード(正式社名はビクターエンタテインメント:VE)買収に名乗りを上げたことがあり、レコード会社を欲しがっていたのは事実である。この場合はソフトバンクというよりも、孫正義という個人名で言った方が事実に近いだろう。レコード業界は華やかであり、売上高の割には企業イメージはかなり高い。VEの場合は世界的に見ればインディーズレーベルであり、今回のUMGとは雲泥の差がある。3大メジャーの、それも世界トップの企業を傘下に収めることは、ソフトバンクの・・・・そして何よりも孫正義の名前をより知らしめるためには大きなチャンスとなることは間違いない。実はここに孫正義の真意があったのであり、ソフトバンクの事業と音楽の親和性など、マスコミが勝手につけた理由なのかもしれない。Appleの事業を身近に見てきた孫正義が、Appleが・・・それもSteve Jovsが決して行わなかったメジャーの買収を行うはずがないと思うが故である。

広告
広告336
広告336

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする