高音質ストリーミング配信でAppleの先を行くDeezer

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世界180カ国以上でオンデマンド型のストリーミング配信を行っているDeezerは、世界第1位の音楽市場である米国ではサービスを提供していなかった。それがようやくこの9月にDEEZER ELITEというサービスで米国上陸することになったが、提供するストリーミングはビットレートが1411.2kbpsのCDクオリティの音楽である。CDクオリティのストリーミング配信は、まさしくAppleが狙っているサービスだと私は思っている。Appleはストリーミング配信を行っているBeats Musicを傘下に収めており、ストリーミング配信を強化する姿勢を見せていた。しかし、強化しようとしたストリーミング配信は、従来のものとは大きく異なるサービス・・・・・CDクオリティのストリーミング配信に違いないと私は考えている。

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米国で実現したCDクオリティのストリーミング配信

deezer-elite

DEEZER ELITE

DEEZER ELITEでCDクオリティのストリーミング配信

DEEZER ELITEで配信される楽曲は、FLAC(フラック:Free Lossless Audio Codec)という可逆圧縮方式のフォーマットが使用されている。通常のMP3などの非可逆圧縮方式とは異なり、オリジナルの楽曲データに戻すことが可能な方式である。サンプリング周波数は44.1kHz、ビットレートは16bitとなっているが、これはCDとまったく同じである。1秒当たりのデータ転送量をビットレートと呼んでおり、44.1kHz/16bitのビットレートは1411.2kbpsとなる。

  • 44.1kHz×16bit×2ch=1411.2bps

音楽配信で使われるビットレートは、AppleのiTunes Storeでは256kbps、ストリーミング配信のSpotifyでは320kbpsである。つまり、現在行われている音楽配信の楽曲データよりも5.5~4.4倍大きいデータが配信されることになり、現在の回線速度やストリーミング技術がそれに適応していると判断されたことになる。

聴きたい曲がなければ買わない

今年の6月頃、Appleがハイレゾ音源の配信を始めるとの憶測記事が流れた。しかし、私はそれは無いだろうと思っていた。その理由は、最初からハイレゾでレコーディングした楽曲は別だが、CDに収録された何千万曲という楽曲のうち、ハイレゾ音源を取り出せるものはほとんど無い・・・・という事実である。e-onkyo musicなどのハイレゾ配信は、音楽をいい音で聴きたいというユーザーが集まっている。しかし、iTunes Storeに来ているユーザーは、自分の聴きたい楽曲を求めているのである。幾ら素晴らしい音で聴けるとしても、聴きたい曲がなければ決してお金を払うことは無い。ハイレゾ音源の数が限られていることは、iTunes Storeなどの音楽配信にとっては致命的な欠陥となる。

ハイレゾとストリーミングを合体させるApple

AppleのiTunes Storeのダウンロード数に陰りが出てきており、今年に入って前年比ダウンの割合が急増していることが伝えられている。iTunes Storeへのテコ入れが必須であることは、Appleは昨年辺りから感じていたものと思われる。それが今年のBeats ElectronicsとBears Musicの買収に繋がったのは間違いなく、Appleが目をつけたのはBeartsのオーディオとストリーミングの技術と考えられる。しかし、Appleが手に入れたBeartsのストリーミング技術でテコ入れしようとしたのは不振が伝えられるiTunes Radioでは無く、またまだ25万人程度のユーザーしかいないBearts Musicが目的であった訳でもない。ここで私が思いついたのが・・・・・ハイレゾとストリーミングの合体であった。前述の通り、ハイレゾは音源が限られるという致命的な欠陥があり、データ量が巨大でストリーミングには向かないという問題もある。従って、「ハイレゾとストリーミングの合体」は、現実的には「CDクオリティのストリミング配信」という姿にならざるを得ない。

Appleより先にDRMフルー化したAmazon

Appleが狙っているのが「CDクオリティのストリーミング配信」だとすると、Appleは既にレーベルとの交渉に入っているはずである。レーベルはDeezerをAppleより早く許諾したことになるが、そのような例は過去にもあった。Appleは2007年5月に配信楽曲をDRMフリー化したが、それに応じたのはEMIのみであった。しかし、4カ月後(2007年9月)にスタートしたAmazon MP3には全レーベルがDRMフリーの楽曲を提供しており、Appleが全曲DRMフリー化を実現したのは1年4ヵ月後の2009年1月のことであった。当時はレーベルとAppleの間で契約交渉が難航しており、それが解消するまでDRMフリー化は見送られることとなった。そこで懸案となっていたのは、iTunes Storeでの販売価格が1曲0.99ドルの一律価格制をとっていたことにある。一律価格制は2009年4月に廃止され、シングルの場合は1曲の価格が0.69ドル/0.99ドル/1.29ドルの3価格となった。

レーベルが認めたCDクオリティのストリーミング配信

DEZER ELITEの価格は、年間契約の場合は月額9.99ドル、月次契約の場合は月額14.99ドルとなる。但し、この価格は将来的には月額19.99ドルになることを明らかにしており、当面の特別価格であることを示している。Spotifyの場合は月額9.99ドルであることから、当面はSpotifyと同じにしてどこかの時点で倍額にするという戦術を採用したようである。恐らく、Deezerがレーベルと合意したのは月額19.99ドルの方であり、軌道に乗るまでは安くしてもらったのであろう。いずれにせよ、米国ではCDクオリティのストリーミング配信をレーベルが認めたことになり、Appleにとってはその面での障害は無いことが明らかになったと言うことができる。

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