SpotifyとSony Music Unlimitedのキャッシュ機能

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8月に「Spotifyは日本の音楽業界の黒船になり得るのか?」という記事を書いたのだが、Spotifyのサイトに日本から接続すると「日本でのサービス利用は現在準備中です」と表示されるらしい。その記事は昨年の12月に掲載されたものだが、現在もその時とまったく同じTopページが表示された。結局、日本でのサービス開始は見送られたわけだが、「準備中」の表示だけはそのまま残すことにしたようだ。まだ諦めていませんよ、というSpotifyの意思表示なのだろう。

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Spotifyはキャッシュ機能でオフラインの高音質配信提供

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Spotifyは無料のFreeと月額$99のPremium

Spotifyは、スウェーデン発祥のストリーミング配信サービス。アクティブユーザーは全世界で4,000万人を超えており、その内の有料会員は1,000万人を超えている。サービスが提供されているのは57カ国に及び、2,000万曲以上が聴き放題となっている。利用できるプランは無料のFreeと有料のPremiumの2種類あり、Freeの場合は3~4曲ごとに広告が入る。Premiumの場合は、キャッシュに保存されている楽曲をオフラインでも再生できる。米国の場合、Premiumは月額$99。楽曲はOgg Vorbis (オッグ・ボルビス)というライセンスフリーのフォーマットで圧縮されており、ビットレートは最大320kbpsと公式に発表されている。以前はFreeとPremiumの間に月額$4.99のUnlimitedというサービスがあり、そこでのビットレートは最大160kbpc、Freeの場合は最大96kbpsと案内されていた。

SonyのMusic Unlimitedも音質的にはSpotifyと同じ

ビットレート(bit rate)とは単位時間当たりのデータ量を表す用語であり、単位としてはbps(bit per second)を使用する。ちなみにCDのビットレートは1411.2kbpsであることから、Spotifyの最大320kbpsというのはCDの1/4弱のデータ量ということになる。AppleのiTunes Storeでダウンロードされる楽曲は、フォーマットがAACで256kbpsである。最大320kbpsという表示からすると全てが320kbpsという訳ではなく、Premiumの場合はほほiTunes Store並みのビットレートの楽曲が用意されているとみてよい。Spotifyの楽曲の音質は、Premiumについてはかなり良いということができる。一方、SonyのMusic Unlimitedは2012年7月の日本開始時はHE-AACの48kbpsしかなく、着うたフル並の低音質なサービスであった。しかし、2013年3月の価格改定時にAACで320kbpsとなる高音質モードを追加しており、音質的にはSpotifyと同じサービスとなっている。

高音質モードではキャッシュ機能が使えないSony Music Unlimited

ここで一つ気になることが出てきた。SonyのMusic Unlimitedの場合、「高音質モードではキャッシュ機能が使えない」らしい。キャッシュ機能で端末側に保存される楽曲は、通常音質のHE-AAC/48kbpsとなるとのこと。しかし、これは極めて非合理的で、かつ極めて日本のSonyらしいやり方である。そもそもSpotifyがキャッシュ機能を導入しているのは、オフラインで高音質な楽曲再生を実現させることが目的である。SonyのMusic Unlimitedではオフラインでは低音質の楽曲再生しかできないとなると、何のために高音質モードを導入したのか意味不明となる。しかし、Sonyがレコード会社であることを考えると、それは十分に合理的なことになる。

合理的でかつ不合理な判断を下したSony

キャッシュ機能とは、わかり易く言うと楽曲データをダウンロードして端末側に保存することである。ストリーミングサービスといいながら、キャッシュ機能を導入したサービスは実際はダウンロードを行っていることになる。但し、ダウンロードされたファイルはDRMで保護されており、会員期間の管理やコピー防止などを行っている。最近はDRMという用語を使わなくなっているが、会員期間のみ聴き放題となるサブスクリプションサービスは、楽曲にDRMを掛けることは必須となる。但し、DRMを回避するソフトは既に出回っており、自由にコピーできる楽曲データを取り出すことは可能である。ストリーミングサービスでレコード会社が得られる代金はダウンロードサービスより格段に低く、そのことがストリーミングサービスに楽曲提供しない最大の理由となっている。キャッシュ機能導入で実質的なダウンロードサービスとなることを回避するため、Sonyはキャッシュ機能でダウンロードできるファイルをHE-AAC/48kbpsだけに限定したのだろう。これはレコード会社としてのSonyとしては、極めて合理的な判断である。そして端末とサービスを提供する会社としては、極めて不合理な判断でもある。

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