iTunes Matchは日本初の音楽ロッカーサービス

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音楽ロッカーサービスは2000年代初めから使われている結構古い用語だが、定着しないまま十数年が過ぎようとしている。また、最近はデジタルロッカーやコンテンツロッカーという言い方もされており、どれも用語としては一般化していないように思われる。その最大の理由は、具体的なサービスとして日本で登場したのがiTunes Matchが初めてであり、今年の5月2日のことであった。米国では2011年11月にスタートしたことから、日本登場はそれより2年半遅れたことになる。

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音楽ロッカーサービスの陰に配信可能化権の影

itunes-match

iTunes Match

Amazon Cloud DriveとGoogle Music

代表的な音楽ロッカーサービスは、Appleが2011年11月に米国で開始したiTunes Matchとされている。しかし、AmazonのAmazon Cloud Driveは同年3月の開始であり、GoogleのGoogle Musicはβ版ながら同年5月にスタートしている。音楽ロッカーサービスは端的にいえば音楽に特化したクラウドストレージサービスであり、Appleよりも先に提供開始したのがクラウドサービスの2台巨頭であったことは利にかなった出来事である。しかし、AppleのiTunes Matchはユーザーの楽曲を実際にアップロードするものではなく、iTunes Storeで販売している楽曲はそのデータを利用することでアップロードの手間を省いている。AmazonやGoogleの場合はそれぞれの配信サイトから購入した楽曲はiTunes Matchと同じ方法を採用しているが、それ以外の楽曲はユーザーが自分でアップロードする必要があった。

米国より高額にできた配信可能化権の存在

AppleのiTunes Matchの日本でのサービス開始は今年の5月2日であったが、米国開始から2年半を要したのは国内の権利者との使用料の交渉であった。日本ではサーバー上に楽曲を置くことが「配信可能化権」として認められており、欧米よりも強い権限がレコード事業者に認められている。それは端的にいうと楽曲使用料の額に比例しており、更にはユーザーが支払うサービスの利用料に反映される。iTunes Matchの利用料は米国では年額24.99ドルであったが、日本ではその1.5倍となる年額3,980円となった。その額が妥当か否かはさておき、日本の権利者はこれまで得られることがなかった収入のルートをAppleから与えられたことになる。この辺のことは本題ではないので、以下の記事を見てもらいたい。

日本で最も早かったのはSugarSync

日本の本格的な音楽ロッカーサービスはiTunes Matchが初めてと書いたが、実はこれは間違っている。クラウドストレージサービスのSugarSyncは、預かった音楽をストリーミング配信することを最大のウリにしたサービスであり、BBソフトサービスが日本語版を展開する前にはそのことを前面に出していたはずである。しかし、現在のSugarSyncのサイトでは「音楽」という言葉は殆ど目にすることはできず、FAQのページにある「音楽プレーヤー」の項で「SugarSyncにアップロードした音楽ファイルをブラウザ経由で再生することができます」と書いてあるのをようやく見つけることができた。これは先に述べた「配信可能化権」の存在が最大の理由と考えられ、「音楽を預かる=サーバーに置く=配信可能化権の侵害」という流れで目立たぬようにしているのであろう。

音楽ロッカーサービスは深く静かに潜行して拡大

一方、App StoreやGoogle Playではクラウドストレージ上の音楽をストリーミング再生するアプリが氾濫しており、こちらの方から入ってくると「送信可能化権」の問題はまったくでてこない。また、日本の著作権法には第30条に私的使用の範囲内ならば許諾は不要という規定があり、これまでクラウド上の音楽の個人的使用が問題とされた例はない。恐らく、今後も今の状態が続くことになると思われるが、それが確実かどうかは分からない。LINEが無料で30GB提供するNドライブのサービスが今年の5月末で終了したことや、SugarSyncのサービスが今年の8月に無料プランを終了して全面有料化を行うなどの動きがある。これらの背景に「送信可能化権」の問題があるのかと思ったが、それは無いようだ。Nドライブ終了の理由は不明だが、SugarSyncの場合はBBソフトサービスの日本版SugarSyncは無料のまま継続される。逆ならば予想通りとなるが、日本だけが無料を継続するというのであれば「送信可能化権」などまったく関係ない動きということが明確である。

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