ハイレゾ配信を開始するビクターのデジタル技術

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ビクターエンタテインメント(VE)は2月6日、ハイレゾ音楽配信サービス「VICTOR STUDIO HD-Music」を開始した。運営は、VE社内のビクタースタジオが行う。ハイレゾとはHigh Resolutionのことだが、CDの情報量を圧倒的に上回る音楽データを指している。これまでのデジタル技術はCD音源の情報量を削減することに費やされてきたが、ここでは逆の事が行われようとしている。

広告
広告336

ピュアオーディオ復活を夢見るオーディオメーカー

victor-studio

VICTOR STUDIO

ハイレゾはCDの3倍から8倍の情報量

CDは、言うまでもなくデジタル音源が収録されている。生の音を秒単位で分断(サンプリング周波数)し、それを様々な要素ごとに0と1で数値化(量子化ビット数)してデジタル化する。CDの持つ情報量は「サンプリング周波数×量子化ビット数=ビットレート」で求められることから、「44.1kHz×16bit×2ch=1411.2Kbps」となる。それに対してハイレゾ音源の場合はサンプリング周波数をCDの約2~約4倍、量子化ビット数を1.5倍とすることで、全体の情報量はCDの3~8倍と大きくなっている。それだけ音が極め細やかで迫力がある・・・というのがハイレゾ音源の”売り”となっている。

オンキヨー、Sony共にオーディオメーカー

ハイレゾ配信はVEが初めて行うものではなく、オンキヨーはe-onkyo musicで2005年8月から行っており、ソニーミュージックエンタテインメント(SME)傘下レーベルゲートも去年の10月から音楽配信サービスmoraでスタートしている。オンキヨーはオーディオメーカーとして発足したが、2007年にはパソコンメーカーのソーテックを買収、現在は自社ブランドのパソコンを発売している。また、ホームシアターやネットワークオーディオにも早くから取り組んでおり、その一環としてハイレゾ配信にも先行して参入した。また、Sonyは昨年12月に発売した74,800円のハイレゾ対応ウォークマンNW-ZX1が大ヒットしており、それに先行してスタートさせたSMEのハイレゾ配信の受け皿となっている。

レコーディング時に音域をカット

先に述べたとおり、CDは生の音を一定の条件の下でデジタル化する。最大の問題は、人間の耳では聞こえないとして20kHz以上の高音域がカットされているところにある。レコーディング時のマスターテープはアナログ録音であり、限りなく生の音に近いものとなっている。しかし、CD化でカットされる音域をレコーディング時に収録しないことが一般的に行われ、それがハイレグ音源が不足している最大の理由になっている。また、クラッシクやジャズの場合は生のまま録音することが多く、ハイレゾ配信で使われている曲がクラッシクやジャズに大きく偏っている原因となっている。

失われた音域を復元する技術

VEは、「VICTOR STUDIO HD-Music」でハイレゾ配信する楽曲をポップスにも広げようとしている。その場合、そのままではハイレゾ化できない音源が数多くあることが大きなネックとなる。ここで力を発揮するのが、ビクタースタジオが開発したデジタル技術である。これは2012年11月に発表した「K2HDプロセッシング」というもので、失われた20kHz以上の音域の音を復元する技術である。このやり方を私なりに表現すると、収録された音の中から失われた音域の残照を探し出し、元の音に限りなく近いと思われる音を再生させる・・・ということになる。ここでポイントとなるのは、CDの音源に生の音にあった(と思われる)音をプラスするというデジタル技術なのである。

音楽配信はマイナス技術で発展

これまでの音楽配信は、すべてCD音源から情報をマイナスする技術が利用されてきた。通信回線のスピードに合わせるため、元データを圧縮しなければならなかった。圧縮という言い方は実は間違っており、同じ情報を持ったまま容量を軽くするのではなく、情報量を減らすことで軽くしているのである。Appleが2003年に米国で開始したiTunes Music Store(当時、現在はiTunes Store)で配信された楽曲は、ビットレートが128kbpsであった。また、日本で一時は主流となった着うたフルの場合、更に低い数字で48kbpsからスタートした。ITunes Storeは現在は256kbpsに上がっており、着うたフルも着うたフルプラスとなって320kbpsにまで増えている。しかし、それでもCDの5分の1程度の情報量でしかない。

ピュアオーディオ復活は?

ハイレゾ配信に使われる楽曲がCDの3倍程度の情報量であった場合、単純計算すると約4200kbpsとなる。これは320kbpsの約13倍となり、これまでの音楽配信とは格段の音の違いとなる。これまでの音楽配信は、手軽にモバイル機器に音楽を取り込むことが持てはやされてきた。しかし、ハイレゾ配信が本格的に普及することは、音楽を高音質で聴くというというオーディオ本来の楽しみ方が戻ってくることになる。オーディオ業界はここ数年、ピュアオーディオの復活を団塊世代に託していた。だが、それが陽の目を見ないうちに時間が過ぎ、オーディオ機器は携帯デジタルプレーヤーのアクセサリーとしてしか生き残る道はないかのような状況が進行していた。そこに突如現れたのは、本来はピュアオーディオと対峙する立場と見られていたデジタル音楽のユーザーそのものであった。

かつての輝きを失って久しいJVCだが、失った多くの資産をハイレゾの世界で復元することができるかどうか・・・・少し期待してみたい気がでてきた。

広告
広告336
広告336

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする