インターネットラジオとストリーミング配信

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Appleが6月10日に発表したiTunes radioは、音楽をストリーミングで流すインターネットラジオである。一方、先月にGoogleが米国でスタートさせたサービスは、ストリーミングによる音楽配信であった。どちらも音楽をストリーミングで流していることから、その違いは分かり難いものとなっている。

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日本は米国に比べて著作権法上強い権利を持つ

itunesradio

今年の秋に米国でスタートするiTunes Radio

CommunicationとBroadcasting

物事は単純化すると分かり易くなる。まずインターネットラジオを分解してみよう。インターネットラジオとは、インターネットを使ったラジオである。しかし、インターネットは通信であり、ラジオは音声による放送である。実はインターネットとラジオはまったく異なった概念であり、両者をつなげて使用するのは本当は誤りである。日本語だとニアンスが伝わりにくいが、通信は英語にするとCommunication、放送はBroadcastingである。通信は送り手と受け手がインタラクティブに交代するが、放送は送り手から受け手への一方的な情報の伝達となる。インターネットラジオは、インタラクティブな通信の世界に放送の概念を無理やり持ち込んだものに他ならない。

パーソナライズド・プレイリストが分かれ目

音楽のストリーミング配信サービスは、基本的にはオンデマンドで曲を聴くことができるサービスである。つまり、ユーザーは自分専用のプレイリスト(パーソナライズド・プレイリスト)を作ることができ、そのリストの求めに応じた楽曲が配信されるのである。しかし、インターネットラジオの場合、ユーザーのオンデマンドによる楽曲の選択は行っていない。つまり、パーソナライズド・プレイリストは使用できないのである。逆に言うと、パーソナライズド・プレイリストが使用できるストリーミングサービスがストリーミング配信であり、パーソナライズド・プレイリストを使用できないストリーミングサービスがインターネットラジオということになる。

デジタル化でようやく使用料が発生した米国

米国の場合、ラジオ局がCDをかけてもその使用料はレコード会社には支払われていない。しかし、インターネットの場合は使用料が発生するようになった。インターネットラジオの場合、ラジオという言葉を使っていてもインターネットを使用していることから使用料が発生する。米国の場合は音源がデジタルになったことでようやく使用料が発生することになったことから、使用料さえもらえれば音源を提供するのに吝かではないというレコード会社が大勢となっている。しかし、日本の場合はレコード会社の権利は米国以上に強いものがあり、その権利を行使する例が米国よりも高くなっている。

日本では複製権と送信可能化権が認められている

日本の著作権法ではレコード会社には著作隣接権が認められており、その中に複製権と送信可能化権が明記されている。米国ではAppleのiTunes MatchやGoogleやAmazonのScan and Matchが展開されているが、日本では現在もサービスがスタートしていない。

iTunes Matchというサービスについて⇒iTunes Matchという音楽配信

iTunes Matchとメジャーについて⇒iTunes Matchでミュージックロンダリング

iTunes Radioは今年の秋に米国で開始される予定だが、恐らく日本ではスタートしないだろう。日本の音楽CDの市場はピーク時の3分の1になってしまったが、昨年は下げ止まりしたとされている。日本のレコード業界は、市場縮小に合わせて早くからリストラを実施してきた。本体の売上げの縮小に歯止めがかかったとすると、ストリーミング配信やインターネットラジオに安い金額で楽曲を提供することに積極的になるはずがない。高く売れるまで腰を落ち着けた交渉に臨んでくるのは明らかである。

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