ハイライト再生という姑息な手でSpotifyに挑むAWA

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9月29日に招待制でSpotifyがスタートしたが、その本格的なローンチは今月とされている。中途半端なカラチでの日本上陸であったわけだが、この裏には日本のレコード会社の都合が垣間見られる。昨日、エイベックスが係っているAWAがFreeプランを大幅リニューアルを行ったことにより、それに合わせたタイミングでのSpotifyの承認であったことが明らかとなった。

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楽曲使用料を極力抑えるために持ち出した苦肉の策がハイライト再生だ!!

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ハイライト再生という名の試聴音源配信

ハイライト再生=試聴音源の再生

リニューアルしたFreeプランで聴けるのは、AWAの表現ではハイライト再生のみとなる。ハイライト再生というハイカラな名前を付けているが、中身は90秒程度の試聴音源である。メーカーによっては30秒しかない楽曲もあり、この場合は試聴音源そのものである。日本では30秒の試聴音源は楽曲使用料が発生せず、配信事業者はメーカーへの使用料支払は必要ない。ハイライト再生で楽曲使用料が発生するか否かは公表されていないが、新たなFreeプランではオンデマンド再生が可能とのことから恐らく発生するものと思われる。しかし、フル尺再生より低い料金であることは確実である。かつてのFreeプランは1カ月1時間の次回制限であったが、新プランではそれが20時間に増えている。時間が延びても採算が合うように計算していることは間違いない。

AWAの有料会員は10万人未満!?

AWAは2015年5月27日にスタートした。当初の3カ月は無料お試し期間であり、3カ月経過後は月額1,080円のPremiumプランと月額360円のLiteプランのどちらかを選択することになっていた。しかし、開始2日後の5月27日には無料のFreeプランが突如登場している。恐らく、有料プランしか用意していないのであれば無料お試し自体も遠慮する・・・というユーザーが結構いたのであろう。しかし、この時用意したFreeプランは月間1時間の制限時間があり、無料お試し期間終了と共に殆どのユーザーが逃げてしまったようである。7月に『AWAの有料会員は10万人未満ということが見えてきた』という記事を書いている。

AWAの有料会員は10万人未満ということが見えてきた
昨日『AWAの有料会員数はこのサイトの独自試算で30万人!?』という記事を書いたばかりだが、それを早速訂正する必要がでてきた。AWA株式会社...

AWAの有料会員数は約6万人!?

サイバーエージェントの代表取締役社長の藤田晋氏は、CNET Japanのインタビューで次のように答えている。『月額360円のLiteプランと月額960円のStandardプランの2プランを提供してきたが、現状は課金者のうち85%がStandardプランを選んでいる』仮に上掲の記事で算出した時点でもその割合だったとすると、『360円×15%=54円』と『960円×85%=816円』で平均の料金は『54円+816円=870円』となり、『0.51億円÷870円=58,621人』となる。まるめると、2016年3月末時点のAWAの有料会員は約6万人ということになる。この数字が大きく上に動く要素は殆ど無いことから、現在もその数字を守るのに精一杯というのが実情だろう。

Spotify=非オンデマンド、月間15時間の制限

AivexやSonyが自ら聴き放題サービスを手がける中、Spotifyの日本上陸を拒むことは自分たちのエゴでしかないことが明らかになる。従って上陸そのものは阻止し得なかったが、Spotifyのサービスの内容を日本向けに手直しさせることには成功した。欧米のSpotifyはFreeプランでもオンデマンド再生が可能だが、日本はプレリストは許されるものの、中の楽曲はシャッフル再生しかできない(注1)。また、月間の利用時間は15時間に制限される(注2)。Spotifyへの楽曲提供条件を以上のようにまとめた上、AWAのFreeプランを①オンデマンドを許可、②制限時間は月20時間としたのであった。しかし、同じ聴き放題サービスなのに楽曲提供条件を相手によって変えるわけにはいかず、提供楽曲をSpotifyのフル尺に対し、AWAは試聴音源としたのであった。

注1:スマートフォンのみ 注2:PCとタブレットのみ

ユーザーやアーティストの真のニーズを踏まえているのか?

試聴音源を聴き放題するニーズがどれだけあるのか大いに疑問だが、試聴音源を採用した理由が楽曲使用料を払いたくない・・・払うとしても極めて定額に・・・というのが本音であるのは間違いない。ここがレコードメーカーが配信事業を自ら行う時に出てくる大いなる矛盾である。苦肉の策として視聴用音源を持ってきたわけだが、ユーザーのニーズから出てきたものでないことは明らかである。Spotifyも2008年から試行錯誤を続けてきており、AWAもそうすることはやむを得ないかも知れない。しかし、ユーザーやアーティストのためになる試行錯誤なら許されるとしても、自らのエゴを満たすだけのものは辞めてほしいものだ。新Freeプランに楽曲提供しないアーティストもいるようだし、そこから再考する必要があると思われる。

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