NTTグループの光回線サービス「フレッツ光」の苦戦が伝えられている。NTTはこの苦境を乗り越えるため、現在は禁じられているドコモとの「セット割」の解禁を総務省に強く求めているとされている。しかし、それが解禁されても、「フレッツ光」の契約が大きく伸びることはないだろう。スマートフォンやタブレット端末などのクラウド端末が急増しており、家庭用の電話回線を利用するユーザーは今後も減少し続けることは間違いない。
スマホ/タブレットの普及でNTT東西は存亡の危機
モバイル機器からの訪問者が半数を超える
インターネット利用者のパソコン離れが急速に進んでいる。メールやサイト閲覧をするだけならスマートフォンやタブレットで十分であり、わざわざパソコンを立ち上げる必要はない。当サイトの閲覧者を調べてみたのだが、この4カ月でモバイル機器からの訪問者の割合が急激に増加している。このサイトはスマートフォンやタブレットをテーマにした記事が多く、以前からモバイル機器からの訪問者が多いとは感じていた。特に休日は半数以上がモバイル機器からの訪問者であった。月間の訪問者の推移を機器別に調べたのが下記の数字である。
9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 1月 | 2月 | 3月 | |
パソコン |
558 /73% |
817 /66% |
3,019 /55% |
4,238 /54% |
4,903 /51% |
9,975 /48% |
23,095 /46% |
モバイル |
211 /27% |
413 /34% |
2,428 /45% |
3,647 /46% |
4,760 /49% |
10,886 /52% |
26,870 /54% |
合計 | 769 | 1,230 | 5,447 | 7,885 | 9,663 | 20,861 | 49,965 |
昨年末からiOS搭載端末が急増している
9月は30%未満だったモバイル機器からの訪問者が急速に増加し、2月にはパソコンからの訪問者を追い越して54%となっている。偶然ではあるが、9月の丁度倍の数字である。10月から11月にかけてモバイルが11%増となっているが、これは偶然ではないだろう。ドコモがiPhoneの取扱を9月に開始しているが、本格的に売れ出したのは11月からだったことが明らかになっている。上記数字のOS別データを見ても、iOS機器が10月の22%から27%に跳ね上がっている。但し、このサイトは年明けに訪問者が急増している。9月の月間訪問者は千を割っているが、3月は5万をチョット欠けた数字にまで来ている。それを加味して見なければならないが、年末年始にかけてこのサイトへのモバイル機器からの訪問者が急増しているデータであることは間違いない。
スマートフォンとタブレットでパソコン不要に
スマートフォンの場合、携帯電話回線でインターネットに接続できる。また、タブレットのWi-Fiモデルの場合、外出先での利用はモバイルルーターを使用する例が多い。また、家庭内に有線LANの環境しかない場合もモバイルルーターを利用する人もいる。その場合、パソコンの買い替えを止めることや、有線LAN(電話回線でのインターネッツ接続)の解約にまで進むことになる。スマートフォンやタブレットの急速な普及により、インターネットを利用するのにパソコン離れが進行し、ひいてはフレッツ光の解約に繋がるという図式となっている。そして、それに拍車をかけているのが、スマートフォンのテザリング機能搭載である。
テザリングで固定電話回線不要に
テザリング機能とは、自らがモデムとなって他の機器をインターネット接続する機能である。上の図はスマートフォンのWi-Fiテザリング機能を利用して他のクラウド端末をインターネット接続している例だが、この場合はFi-Fi機器(モデム・ルーター)が要らないばかりかフレッツ光等の電話回線が不要となる。iPhoneは2013年のiPhone 5からテザリング機能に対応しており、ドコモのiPhoneも同様である。また、iPadのWi-Fi + Cellularモデルもテザリング機能を利用できるが、スマートフォンを持っている場合はそのテザリング機能を利用するとしてWi-Fiモデルを購入するほうが安上がりとなる。われわれの年代は固定電話を持つことは社会人として必須とされていたが、今の若い人は全てを携帯電話で済ませている。普通の使い方をするのであれば、フレッツ光の必要性はゼロということになる。
フレッツで苦戦⇒⇒⇒存亡の危機
携帯電話回線は、現在のLTEをバージョンアップしたLTE Advancedが年内にも実用化されようとしている。LTEの仕様上の最大速度は300Mbpsだが、LTE Advancedの場合はその10倍の3Gbpsとなる。フレッツ光の最も早いサービスは300Mbpsであり、確実にフレッツ光は追い越されてしまうことになる。今は固定電話を必要とする人たちにあの手この手で売り込んでいるが、その手はだんだん使えなくなってくるのは間違いない。NTT東西は局舎から家庭までの電話線を持っていることで強みを発揮してきた。しかし、それが無線に取って代わられようとしている今、存亡の危機に瀕しているといわざるを得ない。