1月24日(米国時間)、米Appleは2012年10月~12月期の四半期決算の発表を行った。売上高は前年同期比18%増の545億1,200万ドル(約4兆8,600億円)、純利益が0.1%増の130億7,800万ドル(約1兆1,700億円)と、いずれも四半期ベースで過去最高であった。しかし、翌24日の株価は急落し、一時は12%以上の下落となった。
純利益の前年比が横ばいに
iPad miniの追加とiPhone 5の不振
iPhoneは前年同期比29%増の4,778万台、iPadも48%増の2,286万台と好調であり、Macの22%減やiPodの18%減のマイナス分を十分カバーしている。しかし、純利益は辛うじて前年を0.1%上回る数字に止まってしまった。その原因は、年末に投入したiPad miniと、9月に投入したiPhone 5の予想外の売り上げ不振にあるとされている。iPad mini(Wi-Fi版)の国内価格は28,800円から44,800円であり、iPad Retinaモデル(Wi-Fi版)の42,800円~58,800円より3割前後安くなっている。また、iPhoneの売上げ台数4,778万台は、iPhone 5発売後も北米で継続販売されているiPhone 4Sがかなり含まれていると予想される。
iPadの販売はiPad miniとiPad 2、iPad Retinaモデルに分散
AppleはiPad miniの発売と共にiPadの新製品であるiPad Retinaモデルを投入した。3月に発売開始した新しいiPadは現在はiPad(第3世代)と呼ばれているが、Apple Storeでの販売は終了している。しかし、2011年に発売されてiPad(第3世代)発売後も継続販売されてきたiPad 2は、現在でも販売が続いている。つまり、iPadの現行機種は3機種あり、iPadの売上げは3機種に分散していることになる。新製品が従来の製品より大きな魅力がある場合、ユーザーは高額な新製品を選ぶことになる。しかし、新製品の魅力が価格ほどのものではない場合、ユーザーは低価格の製品を選ぶことになるだろう。
■iPadの現行機種
モデル | iPad mini | iPad 2 | iPad Retina |
Wi-Fi16GB | 28,800 | 34,800 | 42,800 |
Wi-Fi32GB | 36,800 | - | 50,800 |
Wi-Fi64GB | 44,800 | - | 58,800 |
Wi-Fi+Cellular16GB | 39,800 | 45,800 | 53,800 |
Wi-Fi+Cellular32GB | 47,800 | - | 61,800 |
Wi-Fi+Cellular64GB | 55,800 | - | 69,800 |
iPhneはiPhone 4Sが良く売れた?
iPadの場合、iPad RetinaモデルとiPad 2は性能面において明らかな違いがある。昨年11月に発売となった新製品の正式名称は「iPad Retinaディスプレイモデル」だが、その名の通りディスプレイにはRetinaが搭載されている。ディスプレイのppiは264ppiであり、iPad 2の132ppiの2倍の高細密ディスプレイとなっている。
しかし、iPhoneは2010年に発売されたiPhone 4からRetinaを搭載しており、iPhone 4Sも同様である。更に、iPhone 4Sの326ppiは、iPhone 5とまったく同じである。IPhone 4SはiPhone 5と違って4Gの通信規格LTEに対応していないという性能上の大きな違いがあるが、その違いはユーザーによってはそれほど大きなものではないかもしれない。iPhone 5はAppleが期待したほどの販売数とはならず、その原因が北米で併売されているiPhone 4Sにあるというのは十分考えられることである。