ようやく3D NANDに本腰を入れ始めた東芝陣営

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東芝は2016年7月15日、今後2018年までにNAND型フラッシュに8,600億円を投資すると発表した。また、新たに東芝のパートナーとなったウスタンデジタルコーポレーション(WD)は、同じく2018年までに約50億ドルを3D NANDに投資する予定と明らかにした。従来、東芝は米国のサンディスクと提携していたが、WDの完全子会社であるウエスタンデジタルテクノロジーズに買収されたことから、今年の5月からはWDがパートナーとなっていた。東芝とWDが投入する3D NANDへの開発費は、合計で1.4兆円を超えることになる。

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東芝陣営とSamsungが3D NANDの同じ土俵上で戦うことになる・・・東芝陣営は追いつけるのか?

3d-nand

Toshiba 3D NAND

3D NANDはメモリーの3次元化

NANDとはスマートフォンやタブレットの記憶装置に使われるフラッシュメモリーのことであり、1987年に東芝の技術者が初めて開発した。シェアは韓国のSamsungがトップに位置し、東芝とWDグループがそれに次いでいる。3D NANDとは従来のNANDを立体構造にしたもので、積層することで単位面積当たりの容量を増加させている。従来はデーター収納するセル内のデータ数を増やすことで容量を増加させてきたが、それが限界に近づいたことでこの2~3年で実用化されてきた。開発自体は以前から行われており、東芝は2007年に試作品の開発を公表している。但し、製造開始の1番手はSamsungであり、2013年8月に記者発表を行っている。しかし、その後の技術的な進化の歩調はスローなものであり、3D NANDが抱える技術的課題が大きいことを示している。

マルチセル化で従来の容量を8倍に

3次元化に対し、従来の容量増加の試みはマルチセル化と呼ばれている。NANDフラッシュではデータを格納するところをセルと呼ぶが、従来は1bit(2値)であったものを2bit(4値)以上とする試みである。マルチセル化したものを従来はMLC(Multiple Level Cell)と呼んでいたが、現在は2bitのみをMLCと呼ぶ。1bitのものはSLC(Single Level Cell)であり、3bit(8値)のものはTLC(Triple Level Cell)と呼ぶ。セルに格納するのは3bitが上限のようであり、各社は一斉に3D NANDへの取組みを強化している。3D NANDを唯一製造していたSamsungは、今年6月に25兆ウォン(約2兆2500億円)投入することを発表している。

現在は48層にしても容量は2倍程度しか増えない

東芝とWDは新設した四日市の工場で3D NANDの生産を開始したが、それは48層に積層されている。云わば48階建てのマンション構造としたわけだが、容量が単純に48倍になるわけではない。現在の技術では2倍程度にしかならず、これが大きな技術的難点となっている。事実、Samsungは2013年8月にMLCを24層にした128Gbitの3D NANDを開発したが、翌年には同じくMLCを32層としたものの容量は128Gbitのままであった。それが倍の256Gbitになったのは、当初の開発から2年後の2015年8月になってからであった。フラッシュメモリーの場合、それまではほぼ1年単位で容量を倍増させてきた。マルチセル化の場合、2bitは1bitの2倍、3bitは8倍となり、容量増加に目に見えて貢献する。しかし、3次元化の場合は、容量増加を実現するにはややハードルが高かったようである。

WDのサンディスク買収が東芝を後押し

WDよる買収が6月に完了したサンディスクは、NANDフラシュをSDカードなどの最終製品にして自社ブランドで販売していた。スマートフォンやタブレットのメーカーに部品として納入する割合は低く、デジタルカメラの市場縮小に伴って業績は伸び悩んでいた。不正経理問題で不振の東芝も自力で3D NANDへの投資ができる体力が無く、サンディスクがWDに代わったことで強い味方を得ることになった。WDに15%出資することになっていた中国の紫光集団は、米当局からの認可が得られない可能性を危惧して2016年2月に取り止めている。NANDフラッシュの技術が中国に流出する恐れが無くなり、東芝も安心して開発費を投入することが可能となった。東芝は3D NANDを約100層まで増やし、容量を8倍程度にすることを目指している。1bitのSLCから3bitのTLCで容量は8倍となったが、それと同じことを東芝はやろうとしていることになる。

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